図1 再発リスクに応じた治療選択再発リスク低推奨レジメン*ただし、MSI‒Hにはフッ化ピリミジン単独療法は推奨されない。フッ化ピリミジン単独療法oxaliplatin併用療法高70 Clinical QuestionsCQ 15:Stage Ⅲ結腸癌に術後補助化学療法は推奨されるか?① Stage Ⅲ結腸癌に対してoxaliplatin併用療法を行うことを強く推奨する。(推奨度1・エビデンスレベルA)② Stage Ⅲ結腸癌に対してフッ化ピリミジン単独療法を行うことを弱く推奨する。(推奨度2・エビデンスレベルA) Dukes’ BおよびDukes’ Cを対象とした欧米での3つのランダム化比較試験の統合解析において,5-FU+l-LVは手術単独と比較して無再発生存期間および全生存期間の延長を示した523)。その後,Stage Ⅲ結腸癌を対象とした術後補助化学療法において,6カ月のoxaliplatin(OX)併用療法(CAPOX療法およびFOLFOX療法)は,6カ月の5-FU+l-LVに比べて再発・死亡の相対リスクを約20%減少させることが確認され139,140,524‒526),CAPOX療法およびFOLFOX療法は本邦においても最も有効な治療選択肢として推奨される。一方,ハイリスクStage Ⅲ(大腸癌取扱規約第7版によるN2もしくは主リンパ節陽性)結腸癌を対象として実施されたACTS‒CC 02試験527)において,UFT+LVに対するSOXの優越性は示されなかったことからSOX療法は推奨されない。 一方,Stage Ⅲ結腸癌を対象とした術後補助化学療法においてフッ化ピリミジン単独療法も推奨される:(1)5-FU+l-LVに対する(2)Cape(X‒ACT試験528))および(3)UFT+LV(NSABP C‒06試験529),JCOG0205試験141))の非劣性,UFT+LVに対する(4)S-1の非劣性(ACTS‒CC試験142))が示された一方,Capeに対するS-1の非劣性は証明されていない(JCOG0910試験143))。なおMSI‒H大腸がんは予後良好であり,5つのランダム化比較試験の統合解析において,Stage Ⅲに対するフッ化ピリミジン単独療法による術後補助化学療法の,手術単独に対するベネフィットは示されていない153)。 有害事象については,OX併用療法は5-FU+l-LVに比べて有意にgrade 3~4の治療関連有害事象の発生が高いことが報告されている139,140,524‒526)。特に末梢神経障害は,治療期間中だけでなく長期に残存することが問題となるが,現時点で強く推奨される有効な予防・治療法はない。このような有害事象と期待される効果のバランスをとるべく,治療期間に関する検討も行われた。Stage Ⅲ結腸癌を対象としたOX併用療法(FOLFOX,CAPOX)による術後補助化学療法の検討で,国内のRCT(JFMC47‒1202:ACHIEVE試験530))を含む6つのRCT(TOSCA試験,SCOT試験,IDEA France試験,C80702試験,HORG試験,ACHIEVE試験)の統合解析が行われた(IDEA collaboration144))。主評価項目の無病生存率
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