72 Clinical Questions無再発生存期間および生存期間には4群間の差が認められなかった(Intergroupプロトコール‒0089試験)。毒性,コスト,患者の利便性の観点から,5-FU+l-LVの6~8カ月投与が好ましいと結論された536)。また,NCCTGとNCICは2×2要因デザインで5-FU+LEVもしくは5-FU+l-LV+LEVの6カ月と12カ月投与を比較し,いずれのレジメンおよび投与期間も無再発率,全生存率に有意な影響を及ぼさないことが示された537)(NCCTG 89‒46‒51)。一方,Mayo法の24週投与と5-FU持続静注(300 mg/m2)の12週投与を比較した試験では,無再発生存期間と生存期間に有意差はなく,持続静注は下痢や好中球減少などの有害事象が少なかったと報告されている538)。以上から,5-FU+l-LVの6カ月投与(週1回投与)は,5-FU+LEVや5-FU+l-LVの1年間投与と同等の有効性と考えられ,副作用,コストの観点から6カ月間の治療期間が推奨される。 一方,UFT+LV,capecitabine(Cape)は,5-FU+l-LVとの同等性を検討したNSABP C‒06とX‒ACT試験では静注法と同じく6カ月投与が採用されていた。Stage ⅡB/Ⅲ(TNM‒6版)結腸癌を対象とした術後補助化学療法における,UFT+LVの投与期間は本邦のRCTにて比較され,18カ月投与の6カ月投与に対する優越性は証明されなかった(JFMC33‒0502試験)539)。また,Stage Ⅲ結腸癌に対するCapeの投与期間も本邦のRCTにて比較され副次的評価項目の無再発生存期間,全生存期間では12カ月群が良好であったが,主要評価項目の無病生存率について12カ月投与の6カ月投与に対する優越性は証明されなかった(JFMC37‒0801試験)540)。以上より,UFT+LV,Capeについても術後補助化学療法の治療期間は6カ月が推奨される。 また,Stage Ⅱ/Ⅲ直腸癌に対する術後補助化学療法において,S-1(12カ月投与)のUFT単独(12カ月投与)に対する優越性が示されている(ACTS‒RC試験)148)。本試験は,本邦で実施されたNSAS‒CC試験において直腸癌でUFT 12カ月投与の有効性が示唆されたことから,両群ともに12カ月投与がプロトコール治療として採用されている。よって,S-1については治療期間6カ月が推奨されるものの,直腸癌に対するS-1療法を選択する場合には12カ月の治療期間も許容される。 Oxaliplatin(OX)併用療法の術後補助化学療法では,5-FU+LVに対する優越性を検証したMOSAIC試験,NSABP C‒07試験,XELOXA試験などで標準治療群および試験治療群ともに6カ月投与で比較され,OX併用療法6カ月の有用性が示されている。さらにStage Ⅲ結腸癌を対象として術後補助化学療法における,OX併用療法(FOLFOX,CAPOX)の投与期間が国内のRCT(JFMC47‒1202:ACHIEVE試験)を含む6つのRCT(TOSCA試験,SCOT試験,IDEA France試験,C80702試験,HORG試験,ACHIEVE試験)の統合解析にて比較された。3カ月投与の6カ月投与に対する非劣性は統計学的には証明されなかった(3年無病生存率74.6% vs. 75.5%,ハザード比1.07,95%信頼区間1.00‒1.15)(IDEA col-laboration)144)。一方,有害事象発生割合は3カ月投与群で低く,特にGrade 2以上の感覚性末梢神経障害の発現頻度も大幅に低いことが示された(6カ月群FOLFOX/CAPOX 48%/45%,3カ月群FOLFOX/CAPOX 17%/14%)。また,治療効果と治療レジメン(FOLFOX群とCAPOX群)との間に交互作用が認められ,FOLFOX群では6カ月投与群の3カ月群に対する優越性が示される一方で,CAPOX群では3カ月群の6カ月群に対する非劣性が示された。また,再発リスク別のサブグループ解析でも,再発低リスク症例(T1‒3かつN1)ではCAPOX 3カ月投与群の非劣性が確認された。また,本邦で実施されたACHIEVE試験
元のページ ../index.html#8