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2.抗がん薬の催吐性リスクに応じた予防的制吐療法 39急性期・遅発期の悪心・嘔吐予防3 軽度催吐性リスク抗がん薬に対する予防的制吐療法は,実臨床ではデキサメタゾン,5‒HT3 受容体拮抗薬,ドパミン(D2)受容体拮抗薬が単剤で投与されていることが多いが,予防的投与として推奨できる明確な根拠がないため(→BQ5参照),今後の検証課題としてFQ1を設定した。最小度催吐性リスク抗がん薬に対しては,ルーチンとしての予防的制吐療法は行わない(→BQ5参照)。治療レジメンにおいては,NK1 受容体拮抗薬の追加投与が有意に制吐効果を高めることが複数のランダム化比較試験やシステマティックレビュー・メタアナリシスで示されており,NK1 受容体拮抗薬を含む3剤併用療法が標準制吐療法である(→BQ3,CQ3参照)。AUC<4のカルボプラチンやカルボプラチン以外の中等度催吐性リスク抗がん薬に対するNK1 受容体拮抗薬の追加投与の有用性は確立していないため,抗がん薬の種類,多剤併用療法における抗がん薬の組み合わせ,患者背景や症状によってNK1 受容体拮抗薬追加の適否を検討する。 5‒HT3 受容体拮抗薬の選択については,2剤併用療法の場合は第2世代のパロノセトロンを用いることが望ましいが,3剤併用療法の場合は第1世代の5‒HT3 受容体拮抗薬を考慮してもよい(→BQ4参照)。一方,デキサメタゾンの投与期間を1日目のみに短縮する場合には,パロノセトロンを選択する(→CQ6参照)。 中等度催吐性リスク抗がん薬に対するオランザピンの追加・併用については,3剤併用療法への追加・併用(→CQ4参照),2剤併用療法への追加・併用(→CQ5参照)についてCQを設定したが,エビデンスが十分ではなく,2023年8月時点でその適応は限定的である。軽度・最小度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防(→ダイアグラム3,4参照)Ⅲ

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