(1)嘔吐抑制 遅発期の「CR割合」(ランダム化比較試験7編2‒8))および「NV割合」(ランダム化比較試験3編2‒4))の2つのアウトカムで評価した。CR割合,NV割合ともに,乳がんに対するAC療法が含まれている研究,あるいはがん種が限定された研究が多かった。乳がんに対するAC療法は,現在は高度催吐性リスク抗がん薬に分類されているが,研究が行われた時期は中等度催吐性リスク抗がん薬に分類されていた。多くの研究は盲検化されておらず,個々の研究でコンシールメント,ITT解析,選択的アウトカム報告などでリスクが散見された。対照群(デキサメタゾン3日間投与)で良好な傾向を示した研究が多かった。 遅発期のCR割合のメタアナリシスでは出版バイアスは認められず,対照群で良好な傾向はあるものの,両群間に有意差はなかった〔RD -0.04(95%CI:-0.10‒0.02,p=0.18)〕(図1)。 遅発期のNV割合のメタアナリシスでは出版バイアスは認められず,対照群で有意に良好な結果であった〔RD -0.06(95%CI:-0.11‒-0.01,p=0.02)〕(図2)。 複数のランダム化比較試験があり,サンプルサイズは十分大きく,効果指標の数値は信頼できると判断し,エビデンスの強さはA(強)とした。エビデンスの強さA(強)4害0011害図1 遅発期のCR割合をアウトカムとしたメタアナリシス(2)悪心抑制 遅発期における「CC割合」(ランダム化比較試験6編3‒8)),「TC割合」(ランダム化比較試験5編4‒8)),「NN割合」(ランダム化比較試験4編3‒5,7)),「NSN割合」(ランダム化比較試験3編4,5,7))で評価した。個々の研究の効果指標値は,対照群で良好な傾向のものが多かった。 CC割合のメタアナリシスでは出版バイアスは認められず,対照群で良好な傾向はあるものの,有図2 遅発期のNV割合をアウトカムとしたメタアナリシス78 Ⅲ.急性期・遅発期の悪心・嘔吐予防1DayStudy or SubgroupAapro 2010Celio 2011J Obstet Gynaecol 2015Furukawa 2015Komatsu 2015Celio 2019 O+Dvan der Vorst PAL 2020Events9411434301012042Total(95%CI)Total eventsHeterogeneity: Tau2=0.00; Chi2=7.91, df=6(P=0.24); I2=24%Test for overall effect: Z=1.34(P=0.18)4351 DayStudy or SubgroupAapro 2010Celio 2011van der Vorst PAL 2020Events11914049Total(95%CI)Total eventsHeterogeneity: Tau2=0.00; Chi2=0.73, df=2(P=0.69); I2=0%Test for overall effect: Z=2.29(P=0.02)3083 DaysTotalEvents151981661295636433015110027256333Total14916653391542760Weight20.0%23.7%9.3%8.3%20.5%8.2%10.0%648100.0%6574513 DaysTotalEvents1511271631456353Total14916160Weight34.0%51.1%14.9%370100.0%377-0.06[-0.11, -0.01]325Risk DifferenceIV, Random, 95%CI-0.04[-0.14, 0.07]-0.09[-0.19, 0.00]-0.07[-0.25, 0.11]-0.07[-0.26, 0.12]0.02[-0.09, 0.13]-0.19[-0.38, 0.01]0.12[-0.05, 0.29]-0.04[-0.10, 0.02]-1Favours 3 DaysFavours 1 DayRisk DifferenceIV, Random, 95%CI-0.06[-0.15, 0.02]-0.04[-0.11, 0.03]-0.11[-0.24, 0.03]-1Favours 3 DaysFavours 1 DayRisk DifferenceIV, Random, 95%CI-0.50.5Risk DifferenceIV, Random, 95%CI-0.50.5アウトカムごとのシステマティックレビュー結果
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