病理診断表1 トリプルネガティブ乳癌に投与される免疫チェックポイント阻害薬とコンパニオン診断薬PD—L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」(Autostainer Link 48用)®PD—L1検査(製品名)販売元対応薬剤ベンタナOptiView PD—L1(SP142)®例をIC 5%以上の高発現集団とIC 1~5%の低発現集団に分けると,前者の割合は13.9%,後者は26.9%であった。無再発生存期間(RFS)の中央値は,PD—L1陽性・高発現集団でアテゾリズマブ投与群9.3カ月,プラセボ投与群6.1カ月,ハザード比(HR)0.71(95%CI 0.48—1.05),PD—L1陽性・低発現集団でアテゾリズマブ投与群7.4カ月,プラセボ投与群3.9カ月,HR 0.61(95%CI 0.46—0.80)であり,類似した結果であった3)。したがって,SP142を用いたPD—L1検査においては,陽性/陰性の判定を確実に行うことが重要で,陽性例での発現量の多寡を評価することは必須ではない。(2)22C3(表1) 抗PD—L1マウスモノクローナル抗体である22C3を一次抗体とするPD—L1 IHC 22C3 pharm- Dx「ダコ」®は,ペムブロリズマブの投与を検討する際に必須のPD—L1検査であり,コンパニオン診断薬である。22C3はPD—L1の細胞外ドメインに結合する1)。 ペムブロリズマブは免疫チェックポイント阻害薬の一種で,抗PD—1ヒト化モノクローナル抗体である。ペムブロリズマブの乳癌における第Ⅲ相臨床試験(KEYNOTE—355試験)の結果については薬物療法のCQを参照されたい(乳癌診療ガイドライン①治療編,薬物CQ31参照)。 PD—L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」®には,適用される自動染色装置が異なる2種類のキットがある。乳癌のPD—L1検査を行う場合はCode No. SK006のキットを用いる必要があり,その適用装置はダコAutostainer Link48®である。Code No. GE006のキットが使用可能なのは,非小細胞肺癌のみで,その場合の適用装置はダコOmnis®である。また,22C3によるPD—L1検査は,転移・再発の非小細胞肺癌患者や食道扁平上皮癌患者にペムブロリズマブの投与を考慮する場合にも必須であるが,乳癌検体における評価方法や判定基準は,肺癌検体や食道検体におけるそれロシュ・ダイアグノスティックス株式会社アテゾリズマブ抗PD—L1ヒト化モノクローナル抗体抗PD—L1ウサギモノクローナル抗体(SP142)抗PD—L1マウスモノクローナル抗体(22C3)細胞質内ドメイン一次抗体PD—L1の抗体結合部位染色装置ベンタナベンチマークULTRA®ベンタナベンチマークXT®ベンタナベンチマークGX®IC %・ 腫瘍領域に対する,染色強度に関係なく,PD—L1による陽性反応が認められるICが存在する領域の割合判定方法薬剤投与基準IC 1%以上IC:tumor—infiltrating immune cell,CPS:combined positive scoreアジレント・テクノロジー株式会社ペムブロリズマブ抗PD—1ヒト化モノクローナル抗体細胞外ドメインダコAutostainer Link 48®CPS・ 分子:PD—L1を発現している浸潤癌細胞とリンパ球およびマクロファージの総数・ 分母:浸潤癌細胞の総数・ 100倍してCPSを算出CPS 10以上FRQ 5 377
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