■参考文献 1) Hashimoto H, Abe M, Tokuyama O, et al. Olanzapine 5 mg plus standard antiemetic therapy for the prevention of chemotherapy‒induced nausea and vomiting(J‒FORCE):a multicentre, randomised, double‒blind, pla-cebo‒controlled, phase 3 trial. Lancet Oncol. 2020;21(2):242‒9.という作業は必須である。メディカルスタッフ主導研究について メディカルスタッフ主導で支持療法の研究を実施する際には,がん本体の治療効果に影響がないように研究を行う必要がある。同様に緩和治療の研究を実施する際にも同様の配慮が必要になる。そのため,医師以外のメディカルスタッフが単独で実施することは困難であり,当該診療科の医師とともに協働することが重要である。抗がん薬の副作用に対する支持療法や緩和治療の研究については,診療科横断的な研究になることも多いため,研究計画段階で各診療科と調整する必要がある。 例えば,制吐薬の研究を実施する際には,ハイリスクとなる抗がん薬やレジメンは消化器がん,肺がんなど複数の診療科にまたがることになる。そのためレジメンごとや診療科ごとに試験を実施するより,診療科横断的に試験を実施することで,短期間で多くの患者を集積することができ,臨床に反映することが可能となる。J‒FORCE試験では頭頸部がん,肺がん,食道がん,胃がん,婦人科がん,泌尿器がんの計710名の患者が参加しており,制吐薬の試験を診療科横断的に実施している。各診療科の医師および薬剤師が試験実施に協働しているため,支持医療では大規模な試験を実施することができたと考えられる1)。薬剤を使用する支持医療の研究について 薬剤を使用する研究を実施する場合には薬剤師Ⅰ.総論 11.支持医療の研究(全田貞幹)(岡野朋果)の協力要請を行うことを推奨する。試験薬の管理や払い出しを薬剤師が実施することが可能となる。各医療機関の手順書にて薬剤師が管理責任者となっている場合もあり,薬剤師の協力が必須となることがあるため注意が必要となる。 また,二重盲検比較試験で企業等の協力が十分に得られない場合には,非盲検スタッフとして薬剤師の協力が必要となることがある。併せて試験薬管理手順書の作成や試験薬の管理についても薬剤師の協力があるとスムーズに実施することが可能である。非盲検薬剤師を設定することにより,プラセボ薬を含む試験薬の作成費用を抑えることも可能となることがある。TOPICS試験では各実施医療機関の患者対応しない薬剤師が,非盲検薬剤師としてステロイド薬とプラセボ薬の調剤を行うことで盲検性を担保して試験を実施している3)。(岡野朋果) 2) Roscoe JA, Kaufman ME, Matteson‒Rusby SE, et al. Cancer‒related fatigue and sleep disorders. Oncologist. 2007;12 Suppl 1:35‒42. 3) Zenda S, Yamaguchi T, Yokota T, et al. Topical steroid versus placebo for the prevention of radiation dermatitis in head and neck cancer patients receiving chemoradio-therapy:the study protocol of J‒SUPPORT 1602(TOP-ICS study), a randomized double‒blinded phase 3 trial. BMC Cancer. 2018;18(1):873.132メディカルスタッフの関わり薬剤師の関わり
元のページ ../index.html#11