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■参考文献 1) 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「間脳下垂体機能障害に関する調査研究」班,日本内分泌学会編.間脳下垂体機能障害の診断と治療の手引き(平成30年度改定).こらないが,女性では授乳中の乳汁分泌が低下する。PRL分泌低下症に対する特別な治療法はない。PRLを低下させる薬剤としてカベルゴリンがあり,逆に上昇させる薬剤としては抗精神病薬リスペリドン,パリペリドンなど,胃腸薬スルピリド,メトクロプラミド,降圧薬αメチルドパ,H2受容体拮抗薬シメチジンなどがある。これらの薬剤を開始,中止する際にはPRL値の変動に留意する。 ステロイド治療による副作用対策も薬剤師の役割である。生理量のヒドロコルチゾンであってもミネラルコルチコイド作用であるNa貯留で浮腫が生じる場合もあり,注意すべきである。 ICIを投与された悪性黒色腫および非小細胞肺がん患者を対象とした下垂体機能低下症の発症と生命予後との関連を解析した報告によると,下垂体機能低下症は悪性黒色腫の18.2%で,非小細胞肺がんの3.7%で認められた3)。いずれのがんにおいても,下垂体機能低下症を発症した患者は発症しなかった患者に比べ,全生存率の有意な延長が認められた。以上より,下垂体機能低下症は対処が遅れれば致死的となり得る重篤な有害事象である一方で,適切に診断し治療すれば全生存率が延長し,治療効果の予測因子となる可能性が示唆されている。その点からも,薬剤師が多職種と連携して患者指導を行うことでは極めて重要である。(河本怜史,小茂田昌代) 2) Byun DJ, Wolchok JD, Rosenberg LM, et al. Cancer immunotherapy‒immune checkpoint blockade and associated endocrinopathies. Nat Rev Endocrinol. 2017;13(4):195‒207. 3) Kobayashi T, Iwama S, Yasuda Y, et al. Pituitary dysfunc-tion induced by immune checkpoint inhibitors is associ-ated with better overall survival in both malignant mela-noma and non‒small cell lung carcinoma:a prospective study. J Immunother Cancer. 2020;8(2):e000779. E1‒8.A.視床下部・下垂体223

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