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─推薦のことば─序 文早川先生との初対面がいつだったか資料を探した。2006年1月12日の日付で早川先生から頂いたお手紙が,お付き合いの始まりだったように思う。そのお手紙の始まりは「遠隔医療支援システム参画のお願い」であった。そして以下の内容が続く。「豊田会刈谷総合病院では手術手技の向上及び若手医師の教育・研修を目的とした手術室映像遠隔医療支援システムを立ち上げ……全国の核となる病院を光ファイバー網で繋ぐことにより腹腔鏡下手術を中心としたリアルタイムの先進医療・技術の共有化及び若手医師の研修レベルの向上を図る……。」技術革新に伴う斬新な手術教育にかける早川先生の熱い想いが綴られていた。コロナ禍で国内のデジタル化の遅れが露見し,医療界でも遠隔診療・遠隔手術支援が叫ばれる折,早川先生の時代を先取りした考えと行動力を再認識した。豊田会から遠隔医療システムが提供され京都大学で稼働したのは2006年10月である。早速,刈谷総合病院からTAPP手術が中継されてきた。私自身は遠い昔の前方アプローチの経験しかなく,さらに難解な解剖用語のためかヘルニア手術に辟易していた。しかし,初めて見るTAPPに驚嘆したことを覚えている。難解な解剖用語が削ぎ落とされ,繊細で鮮やかなTAPPは自分にもできそうな気持ちになった。何回か遠隔医療システムを用いたTAPP手術指導を受け,教室でもTAPPを採用し,その後関係病院へこの手術が普及した。このたび,『動画でわかる腹腔鏡下鼠径部ヘルニア修復術─TAPP法のすべて─』が上梓された。ラパヘルの歴史,国内外の現状,外科解剖,手術器具,そして圧巻はシェーマと静止画を用いての手術操作・手順のきめ細かい解説である。しかも解説付きの動画も添付され,危険な操作がどのような場面で起きるのか,その防止策まで視覚的に理解することができる。早川先生のTAPPへのこだわり,外科教育への情熱の集大成である。日本内視鏡外科学会技術認定試験・ヘルニアの合格率は20%と大変厳しいが,本書はまさに“技術認定試験合格への道”となる教科書であり,ひいては合併症や再発率の防止により国民医療への多大な貢献につながるものと確信する。一人でも多くの外科専攻医に手にしてもらいたい教科書である。豊田会から提供された遠隔医療システムは,その後国内でのライブサージャリーへの注意喚起もあり十分活用できなかったことが残念である。大阪赤十字病院 院長坂井 義治iii早川先生の繊細で鮮やかなTAPPを,より多くの外科専攻医に“技術認定試験合格への道”

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