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第る1章21 ヘルニア領域における技術認定審査の動向〈概念〉1.あらゆる内視鏡外科における十分な手術技術をグラフ1にラパヘル手術件数の日本における変遷を示す。2004年技術認定審査開始後に手術症例数は増加している。技術認定審査もラパヘル手術数に影響を与えた可能性は否定できない。グラフ2は2004年から開始された技術認定受験者と合格者の年次別推移である。ラパヘル手術件数の大きな増加と共に,2010年頃より手術件数は大きく増加し,2014年には爆発的に増加した。2020年までに486名の受験者中122名(25%)の合格者数であり,全体の合格率32%と比較するとラパヘル審査は狭き門となっている。グラフ3には全体の合格率とヘルニア領域の合格率の年次別推移の比較を示す。技術認定試験全体の合格率とヘルニア領域の合格率は,2019年まではほぼ同様な推移となっている。2020年はヘルニア領域の合格率は大きく低下している。ロボット支援下手術に向けて技術認定を取得したい外科医がヘルニア領域に応募し,受験医師の技術が有する2.鼠径部ヘルニアに対する解剖学的知識を十分備えている3.安全で確実な鼠径部ヘルニア修復術が施行でき4.若手への知識・技術の指導力を備え,指導的外科医として認定できる鼠径部領域のJSES技術認定審査では,鼠径部ヘルニアに対する腹腔鏡下手術が合併症なく安全に遂行でき,上記の4項目を兼ね備えている指導的外科医を認定する審査である。認定された医師は,どの施設に異動しても若い外科医に指導医としてTAPPだけではなく,すべての腹腔鏡下手術を教育できるだけの技量が要求される。特にTAPPは,腹腔鏡下手術の剥離・牽引,カメラ軸,立体的なメッシュ展開,縫合結紮などのすべての要素が凝縮している。一定時間で定型化されたTAPPが完遂できる術者は,すべての腹腔鏡の手術手技が可能であるとして審査される。ヘルニア領域では,術者とカメラオペレーターとの2名によるソロサージェリーが基本となる。再発や合併症を起こさない安全な手術を完遂するためには,術者の技術だけではなくカメラオペレーターへの教育的指導力も重要となる。日々研鑽を積んでいただき,内視鏡外科手術の発展に今後さらに貢献していただきたい。低下している可能性もある。鼠径部ヘルニアは外科で最も症例数の多い疾患であるが,鼠径部領域の審査が他領域の審査と比較して容易に合格できるわけではないことがわかる。JSESアンケート調査による2004年〜2019年のラパヘル手術件数の推移と,技術認定受験者と合格者の変動および合格率変動を3つの異なる期間で検討してみる(グラフ4,5,6)。・第一期の2004〜2008年では,ラパヘル手術件数も少なく,受験者10人以下と非常に少ないが合格率は高い時期であった。この時期には少ないながらも常にラパヘルを施行している施設から受験者がエントリーしていると思われ,受験者数は少ないが術者の技術レベルは高く,合格率も高くなっていると思われる。・第二期の2011〜2015年はラパヘルが爆発的に日本中に普及した時期である。ラパヘル手術件数は(本文p.15へ続く)11ヘルニア領域における技術認定審査の動向鼠径部ヘルニア領域における日本内視鏡外科学会 (JSES) 技術認定制度

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