(2)イマチニブ耐性に対する薬物治療(二次治療以降) イマチニブ耐性に対しては,スニチニブ治療が推奨される(内科6(BQ))。スニチニブはECOG performance status 0または1の全身状態が良好な患者に有効性が示されており,標準用法・用量は50 mg/日の4週投与,2週休薬である。有害事象に応じて37.5 mg/日,25 mg/日に減量するが,25 mg/日未満への減量については有効性が不明である。標準用法・用量に不耐の場合,減量以外に用法変更も選択肢となる(内科11(CQ))。スニチニブは手足皮膚反応,高血圧,倦怠感,甲状腺機能低下,蛋白尿や骨髄抑制など多彩な有害事象が生じうることに注意が必要である1)。イマチニブ同様,定期的な経過観察と画像検査を行い,耐えられない有害事象あるいは明らかな増大を認めればスニチニブ治療を中止する。 イマチニブ400 mg/日の耐性例に対するイマチニブ増量は,本邦では保険適用されていないことに留意する。スニチニブと直接比較したデータはないものの増量によるPFSの改善や一部の遺伝子変異例に対して治療効果が報告されており,増量が選択肢となっている国もある(内科4(CQ))。 スニチニブ耐性に対してはレゴラフェニブ治療が推奨される(内科7(BQ))。標準用量は160 mg/日で,3週投与,1週休薬である。スニチニブ同様,全身状態良好な患者が対象であり,投与中は定期的な経過観察が必要である。有害事象もスニチニブと類似しているが,重篤な肝障害のリスクに注意が必要である。投与開始から8週間は定期的(1回/週)に肝機能検査を実施する。標準用法・用量で重篤な有害事象が出現した場合は,80 mg/日までを下限として1.総論 59内科治療領域 1 総論 1 転移・再発GISTの治療(1)GISTの薬物治療(一次治療) 転移や局所進行のため切除不能であれば,内科治療が第一選択となる。病理組織学的にGISTの確定診断(アルゴリズム1,2,3)が得られていることを確認し,主要臓器機能が温存されていれば,食後に1回イマチニブ400 mg/日の連日投与を行う(内科1(CQ))。イマチニブ治療中は一般的ながん薬物治療と同様に,定期的な問診,採血および画像診断(画像6(CQ))による経過観察を行い,可能な限りイマチニブ治療を継続する(内科2(BQ))。重篤な有害事象が確認された場合は,休薬または300 mg/日までの減量を行うが,減量しても重篤な有害事象が出現したり,明らかな腫瘍増大が確認されたりした場合はイマチニブ治療を中止する。イマチニブの血中濃度測定は,イマチニブの増量や減量の判断材料となりうるが,用法・用量の変更には総合的な判断が必要である(内科3(CQ))。腫瘍の体細胞変異とイマチニブ治療のPFSとの関連を示唆する後ろ向き研究はあるものの,遺伝子変異によりイマチニブを含む薬剤選択を支持する報告はなく(内科12(CQ)),遺伝子変異に関わらずイマチニブ,スニチニブ,レゴラフェニブの順で投与すべきである。内科治療領域
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