(2)腫瘍径2 cm以上の病変 腫瘍径2 cm以上,5 cm未満,不整な辺縁,潰瘍や陥凹形成,増大傾向を示す場合はCT,EUS,EUS‒FNAによる精査を行う。腫瘍径5.1 cm以上の病変,有症状例,生検でGISTと診断された病変については手術を前提とした病期診断を行う。CTはスライス厚/スライス間隔は5 mm以下の連続スライスを標準とするが,2 mmスライス厚以下の3次元データを取得するのが望ましい。病期診断(腹腔内播種や腹水をみる)のためには上腹部から骨盤までを含んだ範囲の経口・静脈性の造影CTが必要となる。1回の撮像であれば門脈相の撮影を推奨するが,肝転移のより正確な評価のために造影前と動脈相・門脈相・遅延相を撮影する多相撮像が推奨される。消化管の伸展を良好にし,より観察しやすくする目的で水や発泡剤に経口造影剤を適宜併用する。アレルギーなどで造影CTが行えない場合や造影CTでも判断に困る場合は,MRIの撮影を行う。拡散強調画像は,腹腔内播種病変の検出に期待される。以上の画像検査で診断困難な場合,FDG‒PET/CTを行う。FDG‒PET/CTは腹膜播種病変や予期せぬ遠隔転移の診断に有用性が高い。(2)造影CT・MRI NCCNの診療ガイドラインやESMOのコンセンサスレポートで,造影CTを用いて病変の大きさの変化を計測することが推奨されている1,2)。GIST薬効判定は大きさの変化はなくても腫瘍血流低下・嚢胞化して治療効果が得られている場合が少なくないため,CT値を測定し定量的に変化を見る。10%以上の腫瘍径の縮小,または15%以上のCT値の減少があればPRとみなしてよいとされている3)(表1)。GISTのCT所見は薬物療法開始後,1~2カ月で急激に変化 1 総論 1 粘膜下腫瘍の診断に有用な画像検査(1)腫瘍径2 cm未満の病変 検診やスクリーニングのX線造影検査や内視鏡検査で粘膜下腫瘍(submucosal tumor;SMT)が疑われた場合,内視鏡による生検が必須となる。また,腫瘍径が治療方針決定の目安となるため計測を行う。腫瘍径2 cm未満のSMTで半球状,平滑な輪郭を呈し,潰瘍や陥凹を伴わない場合,年1~2回のフォローアップを行う。 2 薬物療法の効果判定に有用な画像診断(1)消化管造影・内視鏡検査・超音波検査 消化管造影や内視鏡検査では,腫瘍の大きさや形状の変化はわかるが,内部の変化については判定ができない。超音波検査は被ばくがなく簡便に繰り返すことができるため,大きさの変化に基づく薬効判定を行うことは可能であるが,定量化の方法は確立されていない。18 画像診断領域画像診断領域
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