20446T
7/14

解説 GISTの確定診断には組織診断が必須であるため,組織を採取する方法として生検鉗子,EUS‒FNA,粘膜の切開生検やボーリングバイオプシーがある。粘膜が欠損し腫瘍が露出した場合は通常の生検鉗子で組織採取が可能であるが,腫瘍が露出していない場合はEUS‒FNAや切開が必要となる。EUS‒FNAでは合併症がほとんど無く診断に十分な生検検体が得られるため,免疫組織化学染色と組み合わせてGISTの診断がほぼ確実に施行可能である。しかし,GISTが疑われる患者の確定診断にEUS‒FNAがどのくらいの有用性があるかは不明である。 定性的システマティックレビューを行った結果,診断の指標も研究により異なったが,すべての研究で報告されている正診率に関しては,コホート研究および症例対照研究でそれぞれ,62.5~97%,61.6~100%であった1‒17)。 以上よりGISTの確定診断にEUS‒FNAは有用と考えられるが,他の確定診断の方法との有効性および安全性に関する検討が十分されておらず,対象および術者,施設などのバイアスは排除されない。また,EUS‒FNAは一般内視鏡検査のように簡単に行える検査ではなく,保険適用があるとはいえEUS‒FNAで用いるコンベックス型の超音波内視鏡を配備した施設は本邦では多くない。これらを踏まえ,EUS‒FNAは確定診断が得られることから選択肢の一つとして提案すべき検査であるが,臨床的有用性を含めて総合的な判断により選択すべきと考えられる。検索資料・ハンドサーチ 本BQに対する文献検索の結果,PubMed 86編(検索年代:2013年以降),Cochrane 20編(検索年代:全期間)の文献が抽出され,計106編がスクリーニング対象となった。2回のスクリーニングを経て抽出された12編の論文を対象に,定性的システマティックレビューを実施した。 2 CQ画   像1(BQ)推奨20 画像診断領域GISTが疑われる患者の確定診断にEUS‒FNAは有用かGISTが疑われる患者の確定診断にEUS‒FNAを行うことを弱く推奨する推奨の強さ:2(弱い) エビデンスの強さ:B(中) 合意率:100%(17/17名)参考文献 1) Sepe PS, Brugge WR. A guide for the diagnosis and management of gastrointestinal stromal cell tumors. Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2009;6:363‒71. 2) Scarpa M, Bertin M, Ruffolo C, et al. A systematic review on the clinical diagnosis of gastrointestinal stromal tumors. J Surg Oncol. 2008;98:384‒92. 3) Hedenström P, Nilsson B, Demir A, et al. Characterizing gastrointestinal stromal tumors and evaluating

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る