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解説58治療前に行われる検査について教えてください。適切な手術術式を選択するためにも,乳がんの治療前検査では,乳がんの広がりや別の場所に存在する小さながんの有無を正確に診断することが最も重要です。マンモグラフィや超音波検査である程度判断することは可能ですが,さらに詳細に確認するための検査として,造影剤を用いたCT 検査やMRI 検査が行われるようになってきています。また,CT検査に比べてMRI 検査のほうが小さな病変やその広がりなどがわかりやすいことが知られており,現在では手術前に乳房MRI検査を行う施設が多くなっています。CT検査やMRI検査では「反対側の乳房内の病変の有無」も同時に診断可能です。「腋窩リンパ節への転移の有無と程度」は,超音波検査やCT検査,MRI検査でわかることもあります。しかし,これらの検査だけで確実にリンパ節転移をみつけられるわけではありません。そこで,転移があるかどうかわからない場合には,手術の際にセンチネルリンパ節生検(☞Q20参照)を行って,転移の有無を確認します。乳がんの進行状況を判定するための検査一般的に,乳房超音波検査,乳房MRI検査は「乳房内での病巣の広がりの程度や多発の有無」「反対側の乳房内の病変の有無」を調べるために,全身CT検査は「腋えき窩かリンパ節への転移の有無と程度」「遠隔転移の有無」などを調べるために行われます。乳がんの手術術式を選ぶときに,乳房に関しては,乳房部分切除術か,乳房全切除術かを選択する必要があります。乳房部分切除術では,がん病巣とその周囲に広がっている領域を含めて過不足なく切除することが大切です。そのため,しこりを越えた乳管内進展(乳管内で増殖している病変)がないか,ある場合にはその程度はどのくらいか,また,乳房内の離れた場所にがんを疑う異常所見がないかどうかを詳細に確認する必要があります。また,乳房部分切除術ができるかどうかの判断は,術後に残った乳腺および周囲組織で保たれる乳房の形が,患者さんにとって許容できる程度かどうかを予測して行いますが,これは切除する組織の量と切除される領域の位置によって変わってきます。乳がんの治療は,乳がんの進行状況や性質などを総合的に判断し,その方針を決めていきます。そのため,乳がんの治療を始める前には,「乳がんの性質」と「乳がんの進行状況(ステージ)」や「乳房内での広がり」,「BRCA1/2遺伝子の病的バリアントの有無」,「患者さんの全身状態」などを詳しく検査する必要があります。AQ14

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