解説 図1 センチネルリンパ節(乳房から最初にリンパ流を受けるリンパ節)しこりセンチネルリンパ節80センチネルリンパ節生検について教えてください。センチネルリンパ節生検が開発される前は,ほぼすべての患者さんに腋窩リンパ節郭清を行っていました。腋窩リンパ節郭清(☞Q21参照)には転移の有無や転移したリンパ節の個数を調べ(診断),それを取り除く(治療)という2つの目的がありますが,最終的にリンパ節に転移がなかった場合には,治療としてのリンパ節郭清は必要なかったことになります。腋窩リンパ節郭清によって,手術後のわきへのリンパ液の貯ちょ留りゅう,わきの感覚の異常,腕のむくみといった合併症や後遺症が引き起こされるなど,リンパ節郭清は,患者にとって術後の悩み事につながる可能性があります。そこで,リンパ節郭清をセンチネルリンパ節生検とはセンチネルリンパ節とは,乳房内からのリンパ流が最初にたどりつくリンパ節と定義され,乳がん細胞が最初に転移しやすいリンパ節と考えられます 図1 。このセンチネルリンパ節をみつけて摘出し,その中にがん細胞があるかどうか(転移の有無)を顕微鏡で調べる一連の検査を「センチネルリンパ節生検」と呼びます。触診や画像診断など術前の検査で腋えき窩かリンパ節への転移がないと判断した場合は,センチネルリンパ節生検を行います。そして,病理検査でセンチネルリンパ節に転移がないか,あるいは転移があっても一定の条件を満たす場合は,腋窩リンパ節郭かく清せいを省略することが可能です。AQ20
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