●●参考文献[1] Bakaeen FG, Murr MM, Sarr MG, et al. What prognostic factors are important in duodenal adeno-外科治療解説60 各 論carcinoma? Arch Surg. 2000;135:635—641.[2] Cloyd JM, Norton JA, Visser BC, et al. Does the extent of resection impact survival for duodenal adenocarcinoma? Analysis of 1,611 cases. Ann Surg Oncol. 2015;22:573—580.[3] Kato Y, Takahashi S, Kinoshita T, et al. Surgical procedure depending on the depth of tumor inva-sion in duodenal cancer. Jpn J Clin Oncol. 2014;44:224—231.[4] Meijer LL, Alberga AJ, de Bakker JK, et al. Outcomes and treatment options for duodenal adeno-carcinoma:a systematic review and meta—analysis. Ann Surg Oncol. 2018;25:2681—2692. CQ1での検討の通り,十二指腸癌は深達度が粘膜下層以深ではリンパ節転移を認め,深達度が進行するにつれてその頻度は高くなると報告されている.十二指腸癌に対する膵頭十二指腸切除術と十二指腸局所切除術(膵温存十二指腸切除術や十二指腸部分切除術を含む)の予後や術後合併症を深達度や占居部位に応じて十分な症例数で比較した研究は存在しない.したがって,粘膜下層以深の十二指腸癌に対しては,腫瘍因子を考慮すると膵頭十二指腸切除術が現時点での標準術式として提案される. しかしながら,いくつかの症例集積およびメタアナリシスにおいて十二指腸癌に対する膵頭十二指腸切除術と十二指腸局所切除術の術後5年生存率は同程度で[1—8],手術死亡や膵液瘻などの術後合併症の発生率は膵頭十二指腸切除術において高い傾向にあると報告されている[1,2,9—12].これらの手術成績やリンパ節転移頻度を考慮すると,粘膜内癌であれば占居部位に関わらず,リンパ節郭清を伴わない十二指腸局所切除術(内視鏡治療を含む)の選択が可能である.ただし,下行部の病変では膵管や胆管の再建を必要とする場合があり,局所切除術の適応は慎重に決められるべきである. また,十二指腸の水平部や上行部の癌では領域外リンパ節への転移を認めなかったとする報告もあり[7],占居部位ごとにリンパ節転移の好発部位が異なる可能性がある.さらに十二指腸癌に対する膵頭十二指腸切除術の有効性や安全性も十分に確立しているとはいえないため,粘膜下層以深の十二指腸癌に対しても腫瘍因子や患者因子を十分に考慮し,腫瘍近傍のリンパ節郭清を伴う十二指腸局所切除術などの膵頭十二指腸切除術以外の術式を選択することが妥当な場合もありえる.▼ステートメント 粘膜下層以深の十二指腸癌では,膵頭十二指腸切除術以外の術式を行わないことを弱く推奨する.推奨度:行わないことを弱く推奨する 合意率:行わないことを弱く推奨する79%(19/24),推奨無し21%(5/24) エビデンスの強さ:C深達度や占居部位を考慮し,膵頭十二指腸切除術以外の術式を行うことは推奨されるか?CQ2
元のページ ../index.html#13