20451T
15/17

薬物療法解説78  各 論 CQに対して文献検索を行ったところ,PubMed:278編,Cochrane:28編,医中誌:82編が抽出され,それ以外に2編の論文が追加された.1次スクリーニングで12編の論文が抽出され,続いて2次スクリーニングで12編の論文が抽出された. 小腸癌に対しての免疫チェックポイント阻害薬に関する第Ⅲ相比較試験は存在しない.そのため,後ろ向き研究を含む10例以上の症例報告を集積した. 十二指腸癌を含む小腸癌におけるマイクロサテライト不安定性MSI(microsatellite instability)—High(MSI—H)に関して[1—7]はその他の遺伝子検査の報告と合わせてCQ2参照のこと. MSI—Hを有する固形腫瘍全体を含む小腸癌に対するペムブロリズマブの有効性について4論文[8—11]が報告されており,ペムブロリズマブ単剤投与の奏効率(overall response rate;ORR)は0—71%であった. ミスマッチ修復(mismatch—repair;MMR)status別で既治療の固形腫瘍を対象に,免疫チェックポイント阻害薬の治療を行った第Ⅱ相試験[8]では,主要評価項目であるORRがMMR deficient(dMMR)の大腸癌群(n=10)で40%(95%CI:12—74),dMMRの非大腸癌群(n=7)で71%(95%CI:29—96),MMR proficient(pMMR)の大腸癌群(n=21)で0%(95%CI:0—20)であった.小腸癌はdMMRの非大腸癌群の中に2例含まれており,ORRは0%であった. Le DTらの2017年の報告[9]では,dMMRを有する既治療(1例は未治療)の固形腫瘍86例に対するペムブロリズマブ単剤投与のORRは53%(95%CI:42—64),その中で小腸癌5例のORRは80%であった. 大腸癌を除くMSI—Hを有する固形腫瘍に対するペムブロリズマブ単剤投与の有効性を検討したKEYNOTE—158試験[10]では,MSI—HもしくはdMMRを有する既治療(7例は未治療)の非大腸癌233症例の中で,小腸癌は19例(8.2%)含まれていた.主要評価項目のORRは全体集団で34.3%(95%CI:28.3—40.8)であり,median progression free survival(mPFS)は4.1ヶ月(95%CI:2.4—4.9)であった.小腸癌のORRは42.1%(95%CI:20.3—66.5),mPFSは9.2ヶ月(95%CI:2.3—not reached)であった. MSI—HもしくはdMMRを有する固形腫瘍149例(そのうち小腸癌は8例)に対するペムブロリズマブ単剤投与の統合解析では,全体のORRは39.6%(95%CI:31.7—47.9)▼ステートメント MSI—HighまたはdMMRを有する既治療の切除不能・再発十二指腸癌を含む小腸癌に限り,ペムブロリズマブ単剤投与を強く推奨する.推奨度:行うことを強く推奨する 合意率:行うことを強く推奨する92%(22/24),弱く推奨する:8%(2/24) エビデンスの強さ:B切除不能・再発十二指腸癌を含む小腸癌に免疫チェックポイント阻害薬は推奨されるか?CQ4

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る