2治 療22 総 論 2 治 療 表在性腫瘍に対する内視鏡治療は,転移がないことが必要条件となることから,術前診断において,腺腫,もしくは,粘膜内癌と診断された病変が内視鏡治療の適応となる(p.31「治療アルゴリズム」図参照). 内視鏡治療法は,従来,ポリペクトミー,内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic Mucosal Resection;EMR),内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection;ESD)に大別されてきた.ポリペクトミーは,病変周囲に鋼線スネアをかけ高周波により切除する方法,EMRは,病変部の粘膜下に生理食塩液やヒアルロン酸溶液などを局注し挙上させた後,鋼線スネアをかけ高周波により切除する方法,ESDは,病変部の粘膜下に生理食塩液やヒアルロン酸溶液などを局注し挙上させた後,高周波デバイスを用いて病変周囲の粘膜を切開し,さらに粘膜下層を剥離して切除する方法である.近年は,これらに分類できない新たな内視鏡治療法として,高周波を用いないコールドポリペクトミー(CP)が普及しつつあり,本手技は生検鉗子より大型のカップを有した開閉型鉗子を用いて病変をカップ内に把持切除するコールド・フォーセプス・ポリペクトミー,高周波用のものより切れ味を向上させた鋼線スネアを用いて通電することなく絞扼切除するコールドスネアポリペクトミー(CSP)に分けられる.また,病変の存在する管腔内を脱気後,生理食塩液で満たし水中に浮遊した病変に鋼線スネアをかけ,高周波により切除する浸水下EMR(UEMR)が開発されている.さらには,内視鏡で粘膜側からの切開剥離手技を行い,腹腔鏡で漿膜側からの切開縫合手技を行って病変を粘膜下層レベルもしくは全層で切除する腹腔鏡・内視鏡合同手術(Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery;LECS)も開発されている. これらの各種内視鏡治療法およびLECSをどのように使い分けるかについては一定のコンセンサスは得られておらず,今後の更なる検討が必要である[1].術前診断で腺腫が確定している病変に対しては分割切除が許容されるが,癌を疑う病変もしくは癌が確定している病変は一括切除が原則である. 有茎性もしくは亜有茎性病変の場合,鋼線スネアで一括切除が可能な病変はポリペクトミーを行うが,ポリペクトミーで分割切除になる可能性がある病変は,明らかな腺腫を除いて,ESDもしくはLECSなど,各施設の基準により一括切除可能な治療法を選択する. 広基性もしくは表面型病変の場合,腺腫と術前診断が確定している病変であれば,腫瘍径などを参考に各施設の基準により治療法を選択する.一般にCPは1 cm以下[2],UEMRは2 cm以下の病変に適用される[3].2 cmを超える病変は,EMRによる分割切除を行うか,ESDもしくはLECSを行うかについては議論のあるところである[4].癌を疑う病変もしくは癌が確定している病変であれば,UEMR,EMR,ESD,LECSのうち,腫瘍径などを参考に各施設の基準により一括切除が可能な治療法を選択する[5].一般に,1 cm以下の病変ではUEMR,EMRが,1~2 cmの病変ではUEMR,EMRもし Ⅰ 内視鏡治療
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