・ 本邦におけるCD関連消化管癌の多くは腺癌であり,その治療の中心は手術による切除である。・ CD関連消化管癌のうち小腸,結腸に生じたものに対しては,通常の大腸癌,小腸癌に・ 直腸肛門管癌に対して最も行われることが多い手術は腹会陰式直腸切断術である。その・ CD関連消化管腫瘍では術前診断がつかず,術中あるいは術後に癌と診断される場合も 4 治 療1)手術治療60 各 論 Ⅱ.CD関連消化管腫瘍・ 本邦で最も頻度が高い直腸肛門管癌に対しても,通常の直腸癌に準じた切除,リンパ節準じ,必要十分な断端を確保した腫瘍切除,リンパ節郭清を行う。郭清を基本とする。際,断端陰性を確保することが重要である。多く,術中に癌を疑った場合には術中迅速病理診断などを行う。ポイント解 説 現状で,CD関連消化腫瘍に関する知見は限られており(CQ 15),本症に至適な手術治療についてエビデンスをもって示すことは困難である。このため,本稿は過去に施行された術式を参考とした。CDではその特徴から,特に小腸の可及的な温存が必要とされ1),消化管合併症の有無を含め,残存腸管長や他の消化管病変への対応も考慮し,最終的な術式を選択する必要がある。本症に合併した腫瘍はしばしば本症の消化管病変としての壁肥厚,狭窄,瘻孔また炎症の波及に伴った線維組織との鑑別が困難で,これらの組織内への癌細胞の進展の可能性があるため,癌の切除の際にはこれらの炎症性病変を含めて行わざるを得ない。また,術後のCDに対する治療に使用する薬剤(CQ 23)や合併した癌に対する補助化学療法,および進行,再発癌に対する化学療法(CQ 24,25)には配慮が必要である。1 CD関連小腸腫瘍 CD関連小腸癌は主に回腸に生じ,回腸部分切除術,あるいは回盲部切除術が行われることが多い。一方で,リンパ節への転移度,壁内進展の範囲などが示された報告もなく,適切なリンパ節郭清の範囲や切除範囲については不明である。 CDの小腸切除時には可及的な腸管温存が基本であり1),小腸癌合併例では断端陰性の確保に加え考慮に入れる必要がある。また,過去の報告からは,リンパ節転移が予後規定因子になる可能性があり(CQ 19),リンパ節郭清は行うべきと考えられる。 CDの活動性病変付近に腫瘍が存在し,活動性病変と癌あるいはdysplasiaの範囲が不明瞭な場合にはこれら全体の切除を行う(症例1)。リンパ節はしばしば腸管の炎症に伴って病変周囲に腫大を認めるため,転移との鑑別は困難な場合もあり,至適郭清範囲が不明な現時点ではリンパ節郭清範囲は術中に判断せざるを得ない。
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