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 「炎症性腸疾患関連消化管腫瘍診療ガイドライン 2024年版」をお届けします。 炎症性腸疾患(IBD)である潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)の患者数は,本邦で増え続けており,炎症に対する薬物療法の急速な進歩により,長期経過症例も増えてきています。IBDの長期経過例には大腸癌をはじめとする消化管腫瘍発生のリスクがあることが知られていますが,IBD関連消化管腫瘍の実際の患者数は散発性の消化管腫瘍に比較すると少なく,消化管疾患を専門としていても個々の医師が経験する症例の数は少ないのが現状であると思われます。 そのような状況の中で,大腸癌研究会は厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業の難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班の協力のもと,IBD関連消化管腫瘍の診療に資するガイドラインの作成を目指して,2021年に炎症性腸疾患関連消化管腫瘍診療ガイドライン作成委員会を発足させました。IBD関連消化管腫瘍に関するエビデンスは,散発性消化管腫瘍に比べて圧倒的に少ないという現状がありますが,内科,外科,病理,ガイドライン作成,文献検索の専門家が委員となり,コロナ禍という制約の中でオンライン会議やメール審議によって議論を重ね,2024年7月に初版のガイドラインを皆さまにお届けすることができました。 本ガイドラインでは,最初に,日常診療で混乱して使用されていることが多い用語の定義を行い,巻末には統一して使用すべき用語を用語集として掲載しました。各論は,十分な紙面と多くの図表を用いて,IBD関連消化管腫瘍の疫学,診断,治療について系統的に理解していただけるような内容となっております。Clinical Question(CQ)では28のテーマを取り上げました。エビデンスが少ないという現状から,高い推奨度,高いエビデンスレベルのCQが多くないのが課題ですが,現時点で最適,最良と思われる提案ができたと考えております。またCQ作成の中で,将来に向けて取り組むべき課題が明らかになったとも考えます。 ガイドライン作成委員一同,本ガイドラインがIBD患者の診療に携わる全ての医療従事者のお役に立てることを切に願っております。 2024年7月 大腸癌研究会会長味岡洋一ii  はじめに

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