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1 疫 学50012 各 論  Ⅰ.UC関連消化管腫瘍・前癌病変であるdysplasiaの早期診断が重要である。・UCの長期罹患や炎症範囲が左側以上でUC関連大腸腫瘍の発生リスクが増大する。・ 原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis:PSC)合併,中等度以上の活動性炎症,dysplasia既往,大腸癌家族歴,狭窄病変など大腸癌発生のリスク因子に注意する。201510図1 大腸浸潤癌累積発生率1.8%0.7%0.1%Eaden JA et al.(文献2)Kishikawa J et al.(文献4)108.3%3.2%2.9%2018.4%6.7%5.2%30Choi CH et al.(文献3)ポイント解 説1 発生頻度 UCは長期罹患に伴う粘膜の慢性炎症を背景に発癌リスクが上がることが知られており,1925年にCrohnとRosenbergが最初のUC関連大腸癌の報告を行って以降,これまで多くの報告がなされてきた1)。UC関連大腸癌は罹患年数が長くなるにつれ発生リスクが上がるとされ,2001年Eadenらの報告では,浸潤癌の累積発生率は10年で1.8%,20年で8.3%,30年で18.4%であることが示された2)。一方近年では,英国Choiらの報告にて10年で0.1%,20年で2.9%,30年で6.7%とされ,罹患年数に伴う累積発生率は低い値を示している3)(図1)。本邦ではKishikawaらの報告によると,浸潤癌の累積発生率は10年で0.7%,20年で3.2%,30年で5.2%でありChoiらの結果同様であったが,一方でdysplasiaも含めた腫瘍性病変の累積発生率は10年で3.3%,20年で12.1%,30年で21.8%であり,依然長期経過での発生率は高く注意すべき問題である4)(図2)。また炎症の範囲が広いほど発癌リスクが上がることも知られており,Ekbomらの報告によると一般集団と比較した大腸癌発生の相対危

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