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・ UC関連進行大腸癌の肉眼像は潰瘍浸潤型(3型),びまん浸潤型(4型)や分類不能型(5型)が多い。同初期病変の多くは隆起型,平坦型,あるいはその混合型であり,平坦型成分はdysplasiaの特徴といえる。・ Dysplasiaはその異型度によりLGDとHGDに二分される。また,粘膜内脱分化,表層への細胞分化,細胞の分化異常,疎な腺管密度,粘膜全層置換,分岐の少ないストレートな腺管,周囲粘膜とのなだらかな移行,平坦な肉眼形態,bottom‒up patternの細胞増殖動態,p53蛋白発現異常を特徴とし,粘膜下層以深浸潤癌では散発性腫瘍に比べ,粘液癌,低分化腺癌,印環細胞癌などの頻度が高い。・ UC関連大腸腫瘍の生検診断には,Riddell systemや厚生省(現厚生労働省)難治性炎症性腸管障害調査研究班によるUCにおける異型上皮に関する診断基準が用いられている。本ガイドラインでは,Riddell systemで定義されたdysplasiaの概念を採用している。・ 本邦で広く受け入れられている非浸潤癌(上皮内癌)の概念も日常的に用いられているので,dysplasiaのうち,組織学的異型度を指標とする日本の病理診断基準で癌と診断されるものは,非浸潤性であってもUC関連粘膜内癌と呼ぶ。3.診 断 25図7 UC関連進行大腸癌の代表的な肉眼像2)病理診断 a .内腔狭窄を伴った5型の腫瘍(矢印)を認める。 b .組織学的には,粘液癌あるいは低分化腺癌が壁内に浸潤している像を認める。abポイント解 説1 肉眼的特徴 通常の散発性進行大腸癌の多くは潰瘍限局型(2型)であるが,UC関連進行大腸癌は潰瘍浸潤型(3型),びまん浸潤型(4型)や分類不能型(5型)が多いとされる(図7)。初期病変であるdysplasiaの肉眼形態に関しては,混合型を含む約70%の症例が何らかの隆起成分を有することが報告されている1,2)。ただ同じ隆起といっても,UC関連大腸腫瘍の多くは境

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