第2部脳腫瘍診断・病理カラーアトラスⅣ 組織型の解説とカラーアトラス 95図2‒38 Angiocentric glioma血管に向かって垂直に突起を伸ばしている。図2‒37 Angiocentric glioma血管に沿って紡錘形細胞が配列する特徴を示す。 定義:MYBあるいはMYBL1遺伝子の異常をもち,びまん性浸潤を示す星細胞性腫瘍で,単調な腫瘍細胞から構成される低悪性度腫瘍である。CNS WHO grade 1。 特徴:稀な腫瘍で,大半は大脳に発生し,皮質から皮質下白質にかけて広がる。主な症状は薬剤抵抗性のてんかん発作で,小児期に発症し,成人になって切除に至るのが既報告例の典型的経過である。 組織学的には円形,卵円形,短紡錘形核を有する単調なグリア細胞が浸潤性の発育を示す。個々の細胞の異型は軽度で,細胞密度も低く,核分裂像には乏しい。血管周囲性の局在がうかがえることがある。免疫組織化学ではGFAP陽性で,Ki‒67陽性率は低率である。一般にOLIG2は陰性である。 IDH遺伝子およびH3遺伝子は野生型で,MYB,MYBL1の再構成があり,PCDHGA1,MMP16,MAML2,QKIなどが融合相手として知られる。 予後は良好である。2.Angiocentric glioma血管中心性膠腫(図2‒37,38) 定義:双極性細胞質突起を伸ばす細胞異型に乏しい腫瘍細胞が,少なくとも一部では血管周囲腔に集簇して増殖するびまん性膠腫である。大半の症例がMYB::QKI融合遺伝子をもつ。CNS WHO grade 1。 特徴:小児や若年成人に好発する。大脳の脳表付近に境界明瞭な腫瘤を形成することが多く,脳幹発生例も知られる。てんかんに関連しており,難治性の部分発作を主症状とする。 組織学的には細長い紡錘形の均一な腫瘍細胞が,血管周囲に集簇しながら増殖する(図2‒37)。細胞は血管の軸に沿って平行または同心円状に並ぶ場合と,血管軸とは垂直に,すなわち血管から放射状に配列する場合があり(図2‒38),後者は上衣腫の血管周囲性偽ロはMYBL1異状B.Pediatric‒type diffuse low‒grade gliomas小児型びまん性低悪性度膠腫1.Diffuse astrocytoma,MYB‒ or MYBL1‒alteredびまん性星細胞腫,MYBまた
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