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第4部下垂体腫瘍 2 Anterior neuroendocrine neoplasms下垂体前葉神経内分泌腫Ⅰ 下垂体腫瘍  251モン(LH)産生細胞の分化に関わる。 GATA2/3:TSH,ゴナドトロピン産生細胞の分化に関わる。 ERα:PRL,ゴナドトロピン産生細胞の分化に関わる。 これらの発現が確認されれば,ホルモン染色陰性でも,各系統のPitNETと診断する。 下垂体後葉細胞腫瘍では転写因子TTF1が陽性となる。b.産生ホルモン GH,PRL,TSH,ACTH,FSH,LHの既知の前葉ホルモンの産生性を同定する。c.サイトケラチン(CK)(CAM5.2,CK18) 細胞骨格を形成する細胞内中間径フィラメントなどを認識する。PitNETでは,分布パターン(核周囲性,fibrous body,陰性など)が,亜型分類に有用であり,これらが認識できる条件設定が必要である。d.その他 PitNETの薬剤感受性を予測するためにソマトスタチンレセプター(SSTR)2A,5,あるいはドパミン受容体D2R,MGMT(化学療法耐性に関与する因子の項を参照)を用いる。 下垂体部には髄膜腫,孤立性線維性腫瘍なども発生するが,これらに用いる免疫組織化学は脳腫瘍で紹介されている(免疫組織化学の項を参照)。 定義:下垂体前葉のホルモン産生細胞から発生する腫瘍。①前葉細胞は純粋な上皮細胞ではなく神経内分泌細胞であること,②「下垂体腺腫」は周囲組織を破壊し浸潤するなど,しばしば良性腫瘍の枠を超えることがあるため,ほかの全身臓器の神経内分泌腫瘍(Neu-roendocrine tumor:NET)と同様にbenignからpotentially malignantを含む疾患概念として,Pituitary NET(PitNET)という名称が2017年に提唱された1)。この名称には臨床医からの反対意見も多いが2),WHO 2022では全身の臓器に発生するNETの概念と名称の統一がメインテーマとなり,その一環として「Pituitary adenoma」は「PitNET」へ名称が変更された3,4)。これに伴い本邦でも下垂体腺腫に代わり,「下垂体神経内分泌腫瘍(下垂体NET)」とする。 組織学的に下垂体NETと過形成の鑑別点は,下垂体前葉の索状構造が破壊されていることで,鍍銀染色などで索状構造を取り巻く線維の有無を確認できる(図4‒1,2)。 特徴:脳腫瘍の約15%を占め,臨床診断されるのは約4人/10万人/年。主に成人にみられるが,腫瘍型により好発年齢や性比は異なる。大多数はトルコ鞍内から発生するが,しばしば周囲硬膜,骨への浸潤・破壊を認める。臨床的に腫瘍のホルモン産生分泌能の有無により機能性と非機能性PitNETに分類されるが,後者もその大多数はホルモン産生分化能を有しておりそれに基づいて組織分類される。腫瘍の大きさによりミクロ腫瘍(10 mm未満),マクロ腫瘍(10 mm以上)と巨大腫瘍(40 mm以上)に分類される。機能性PitNETはホルモン過剰症状で発症するため比較的小型の腫瘍で,非機能性PitNETは周囲の圧迫瘍

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