論Ⅰ総1 b. 所見は,臨床所見(clinical findings),術中所見(surgical findings),病理所見(patho-logical findings)を区分し,それぞれ小文字のc,s,pを所見記号の前に付して記す。 c. cTNM分類は術前に判定し,sTNM分類およびsEx分類(甲状腺腫瘍の肉眼的腺外浸潤所見)は手術時に判定する。予後予測にはsTNM分類,sEx分類を活用するのがよい。 d. 確実ではない所見(術前超音波検査でリンパ節腫大,CT検査で単発の微小肺結節など)があり,進展度を決定し難い場合には,進展度の低い分類とする。たとえば,術前の頸部超音波検査でリンパ節腫大を認めるが転移とは断定できないときにはN0とする。また,術前の胸部CT検査で肺野に微小結節を認めるが転移とは診断できないときにはM0とする。 e. ただし,甲状腺癌においては術直後の検査によって癌と判明したり,その進行度が判明す 本規約は,わが国の甲状腺癌の診断および治療成績の向上を図るための基盤として,甲状腺癌の臨床的・病理学的情報を共有するための取扱い方法を示すことを目的とする。 本規約は,甲状腺の原発性悪性腫瘍(癌)であることが確認された症例について記載し,以下は「Ⅱ.臨床的事項」として記録する対象としない。 ・再発治療例 ・リンパ腫例 ・他臓器に原発した癌の甲状腺転移例 ・剖検発見例 甲状腺癌のTNM分類にあたり,以下を原則とする。 a. 所見を示すT(主腫瘍の大きさ・進展度),N(リンパ節転移),M(遠隔転移)などの所見は大文字のアルファベット,所見の程度はアルファベットの後にアラビア数字で表記し(例:T2),評価不能または不明の場合はXを用いる(例:TX)。所見の程度の細区分はアラビア数字の後ろに小文字のアルファベットで表記し(例:T4a),さらに区分する場合はハイフンとアラビア数字で表記する(例:N1b‒2)。ることがある。いくつかの例を提示する。・ 濾胞性腫瘍の術前診断で手術を施行し,術後に濾胞癌と診断した。 1 .目 的 2 .対 象 3 .記載法の原則Ⅰ.総 論
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