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44AQ3胃がんの種類にはどのようなものがありますか?AQ4ピロリ菌の除菌は必要ですか? 除菌すればがんにならないのですか? ピロリ菌きんと胃がんは密接に関連していることがわかっています。上村直美先生らの報告によると,日本人のピロリ菌陽性者1,246名,陰性者280名を平均7.8年間にわたり追跡したところ,陽性者グループからは36名(2.9%)の胃がん患者が発生する一方,陰性者グループからは1例の胃がんも発生しませんでした。これており,原則は2年に1回の検診を受けることが勧められています。胃部X線検査にて異常が指摘された場合には,精査目的の胃内視鏡検査を必ず受けることも大切です。 胃がんはそのほとんどが胃の粘膜上皮から発生する腺せんがんです。さらに腺がんは増殖の仕方の違いから,大きく分ぶん化か型がた胃いがんと未み分ぶん化か型がた胃いがんに分けられます。分化型胃がんではがん細胞がもともとの胃の粘膜の腺管構造を残しながらまとまって増殖していきます。これに対して未分化型胃がんはもともとも胃の粘膜の構造に乏しく,パラパラ広がるように増殖していきます。未分化型胃がんはより悪性度が高く,早い段階からより深くに浸潤したり,リンパ節せつ転てん移いを生じたりします。 また,細胞の表面に出現するタンパク質や遺伝子の変化によっても分類される場合があります。乳がんでも認められるHハーツーER2と呼ばれるタンパク質はがん細胞の表面に出現し,細胞の増殖に関わっています。HER2タンパク質が陽性の場合には,HER2タンパク質の働きを抑える分子標的治療薬を使用する場合があります(Q & A進行再発症例に対してのがん薬物療法1:74ページ参照)。 遺伝子の中には「マイクロサテライト」と呼ばれる数個の核酸が何度も繰り返し並んでいる部分があります。この繰り返し回数に異常が生じた場合に高こう頻ひん度どマイクロサテライト不ふ安あん定てい性せい(MエムエスアイSI—Hハイigh)と呼ばれます。胃がん以外にも様々ながんでMSI—Highが確認されています。MSI—Highが確認された場合,免めん疫えきチェックポイント阻そ害がい剤ざいに対する反応が良好であることが報告されています。また,ニボルマブという免疫チェックポイント阻害剤では,がん細胞や間質細胞におけるPピーディーD—Lエルワン1(programmed cell death 1—ligand 1)タンパク質の量により,効果が異なることが知られています(Q & A進行再発症例に対してのがん薬物療法3:77ページ参照)。

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