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 交流電場療法は,有糸分裂中の細胞を標的とした2方向の腫瘍治療電場(tumor treat-ment fields:TTFields)を順次印加する治療法である。この交流電場が有糸分裂中期の核分裂停止を誘発し,有糸分裂後期から終期に,高分子/細胞小器官を細胞分裂溝に押しやり,構造的破壊を誘発するという。交流電場療法の効果は方向性や強度および周波数に依存し,基礎実験では膠芽腫の適正周波数は200 kHzで強度は≧1 V/cmであった1)。臨床的に最低4週間効果的な治療を継続する必要があると考えられている。 初発テント上膠芽腫患者において,NovoTTF—100Aシステム+テモゾロミド(TMZ)治療をTMZ単独治療と比較する第Ⅲ相試験(EF—14)が実施された。標準治療であるTMZ併用化学放射線療法の初期治療の4~7週間後に2対1にランダム化割り付けされ,Novo-TTF—100Aシステム+TMZ維持治療6サイクル群(試験群)と,TMZ維持治療6サイクル群(対照群)の治療を行った。初回再発後,試験群はNovoTTF—100Aシステム+セカンドライン治療(化学療法±手術±定位放射線治療),対照群はセカンドライン治療を24カ月後あるいは2度目の増悪まで施行した2)。試験は315例(210例vs. 105例)を対象とした中間解析の結果,米国FDAから早期の有効中止を勧告された。最終的に695例(466例vs. 229例)が解析対象となり,主要評価項目であるランダム化からの無増悪生存期間中央値が,試験群7.2カ月が対照群4.0カ月と比較し有意に長かった(HR=0.621,p=0.0013)。また副次評価項目である全生存期間中央値も試験群が20.5カ月で,対照群の15.6カ月と比較し有意に長く(HR=0.666,p=0.0042),2年生存割合も有意に高かった(48% vs. 32%,p=0.0058)。また,試験群は対照群と比較し重篤な有害事象発生の有意な増加はなく,最も一般的(≧10%)な有害事象は,血小板減少症,貧血,便秘,嘔吐,疲労,医療機器装着部位の反応,頭痛,けいれん,うつ状態であり,NovoTTF—100Aシステムに関連した最も一般的な有害事象は,軽度から中等度の皮膚有害事象だった2)(レベルⅠb)。 これらの結果より,オープン試験という批判はあるものの前方視的ランダム化比較試験によって無増悪生存期間中央値,全生存期間中央値ともに有意な延長を示した治療法であ推 奨初発テント上膠芽腫に対して,手術と化学放射線療法の初期治療後,化学療法の維持療法時に交流電場腫瘍治療システム(NovoTTF‒100Aシステム)の使用追加を考慮する。 50  膠芽腫交流電場腫瘍治療システムCQ 5膠芽腫に対する,交流電場腫瘍治療システム(NovoTTF—100Aシステム)の使用は有効か?解 説〔推奨グレード1B〕

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