ステロイド(糖質コルチコイド)の主たる作用機序は,核内受容体を介した腫瘍細胞への直接的細胞融解効果であり,血液脳関門の再構築効果もあわせて,半数近くの症例でステロイド投与後に急速な腫瘍縮小がみられる[完全奏効(complete response:CR)15%,部分奏効(partial response:PR)25%]1)(レベルⅢ)。しかし,この治療効果は一過性であり2)(レベルⅣ),一般に数週~数カ月で腫瘍は再燃し,根治性に乏しい。 術前のステロイド投与は,標的病巣の急速な縮小により,生検による腫瘍細胞検出が困難となることがあり,また病理組織像も修飾を受けるため,術前にはできるだけステロイド投与を控えることが肝要である3)(レベルⅤ)。ただし,強い脳浮腫や腫瘍のmass effectを伴うような場合など,臨床上必要と考えられる場合は治療開始前の病状安定化目的のため,ステロイド使用もやむを得ない。 なお,初発PCNSLでステロイドに対する治療反応を示した症例と反応がみられなかった症例との比較では,前者で生存期間中央値が17.9カ月であったのに対し,後者では5.5推 奨生検術前のステロイド使用は,可能な限り投与を控えることを推奨する。ステロイドによる標的病変の縮小が高頻度に生じるため,手術時に生検的中率が低下するリスクがあるため。 〔推奨度1B〕推奨1診断確定後のステロイド使用を提案する。PCNSLに対するステロイド療法は,一過性の腫瘍縮小効果が認められることが多く,また,症状緩和目的に使用されることも多いため。 〔推奨度2C〕推奨2ステロイドは治癒的効果に乏しいため,治癒目的の単独使用を行わないことを推奨する。 〔推奨度1B〕 136 中枢神経系原発悪性リンパ腫ステロイド療法CQ 2-a診断確定前にステロイド療法は施行するべきか?解 説CQ 2-b診断確定後のステロイド療法の位置づけは?
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