・ 血液検体を用いたRAS変異検査として,OncoBEAMTM RAS CRCキットは大腸がん患者における化学療法の選択を目的に2020年8月に保険適用となった。「D006‒22 RAS遺伝子検査(血漿)」として7,500点の算定となり,患者1人につき1回に限り算定可能だが,再度治療法を選択する必要がある場合にも算定できる。本検査の実施は,大腸がんの組織検体を用いた「D004‒2悪性腫瘍組織検査」のRAS遺伝子検査もしくはK‒ras遺伝子検査を行うことが困難な場合に限るとされている。・ ミスマッチ修復機能欠損を判定するための検査として,マイクロサテライト不安定性検査は,「D004‒2悪性腫瘍組織検査」の「(1)医薬品の適応判定の補助等に用いるもの」として実施する場合,2,500点の算定となる。遺伝学的検査としてリンチ症候群の診断の補助を目的として実施する場合は,区分番号「D004‒2」の「(2)その他のもの」として2,100点の算定となるが,医薬品の適応判定のためのコンパニオン診断薬として承認を受けている検査を用いる場合は2,500点を算定可能である。マイクロサテライト不安定性検査は,患者1人につき1回に限り算定可能だが,リンチ症候群の診断の補助を目的とする場合又は固形がんの抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的とする場合に,当該検査を実施した後に,もう一方の目的で当該検査を実施した場合にあっても,別に1回に限り算定できる。1 本ガイダンスにおける推奨内容と保険承認条件の関連性いては,2023年1月1日現在,保険償還されていないが推奨度を付与するに値する十分なエビデンスがすでに蓄積されていると判断し基本的要件に加えた。また,包括的ゲノムプロファイリング検査のタイミングについて,現在の保険償還条件と本ガイダンスが考えるベストなタイミングについては,必ずしも一致していない。 このように本ガイダンスは科学的根拠をもとに基本的要件を設定しているが,実臨床においては本邦の保険償還状況を遵守する必要がある。読者の混乱を避けるため,2023年1月1日現在の保険償還状況について表2に記載した。実際に検査をオーダーされる際には,記載の保険償還条件を参照されるようお願いしたい。・ RAS変異検査は,「D004‒2悪性腫瘍組織検査」に「RAS遺伝子検査(2,500点)」として,大腸BRAF V600E変異検査・ BRAF変異検査は,「D004‒2悪性腫瘍組織検査」に「BRAF遺伝子検査(2,100点)」として,大腸がんにおける化学療法(術後補助化学療法を含む)の選択の補助,大腸がんにおけるリンチ症候群の診断の補助のために保険適用されている。エンコラフェニブ,ビニメチニブのCDxとして使用した場合,「D004‒2悪性腫瘍組織検査」の「(1)医薬品の適応判定の補助等に用いるもの」として,2,500点の算定となる。・ RAS/BRAF変異検査を同時に行った場合,「D004‒2悪性腫瘍組織検査」の「2項目4,000点」の・ 2021年12月免疫染色用試薬として,ベンタナOptiView BRAF V600E(VE1)が体外診断薬の承認が得られており,2023年1月に保険収載された。患者1人につき1回に限り,1,600点が算定可能である。HER2検査・ 大腸がんにおける抗HER2抗体併用療法の治療選択の補助として,免疫組織化学染色(IHC)法とfluorescence in situ hybridization(FISH)法によるHER2検査が保険適用されている。IHC検査は,「N002免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製」において690点が算定可能である。FISH法による検査は,「N005 HER2遺伝子標本作製」において2,700点の算定が可能で,IHC検査のための「N002免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製」を同一の目的で実施した場合は,併せて3,050点の算定となる。・ 次世代シークエンサー(NGS)を用いた検査のうち,包括的ゲノムプロファイリング検査「Foun-dationOne® CDxがんゲノムプロファイル」と「Guardant360® CDxがん遺伝子パネル」ではマイクロサテライト不安定性の結果を得ることができ,医薬品の適応判定のためのコンパニオン診断薬として承認されている。「OncoGuideTM NCCオンコパネルシステム」もマイクロサテライト不安定性の結果を得ることができるが,薬事承認・保険適用されていない。ただし,厚生労働省が発出した「遺伝子パネル検査の保険適用に係る留意点について」では,CGP検査後に開催されるエキスパートパネルが適切であると判断した場合,改めてコンパニオン検査を行うことなく当該医薬品を投与しても差し支えないとされている。がんにおける治療選択の補助を目的として保険適用されている。包括規定となる。3表2 2023年1月1日現在における各種検査の薬事承認・保険適用の状況RAS変異検査ミスマッチ修復機能欠損を判定するための検査
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