4 国際的なレビュー392)平均観察期間11.4年での続報11)1986年12月までに診断された乳がんは、検診群で428人、コントロール群を検診群との参加人数で補正すると439人となり、ほぼ同数でした。検診群では39人(10,000人年あたり1.44人)、コントロール群では30人(10,000人年あたり2.04人)の乳がん死を認め、検診群が29%減少していますが有意差は認めていません。年代別にみると、40〜49歳ではむしろ検診群に乳がん死が多く、50〜64歳では検診群の死亡率が43%減少するという逆の結果になっています。ただし、いずれも有意差は認めていません。検診群で死亡した39例の内訳は、中間期乳がん17例、検診未受診者14例、検診発見乳がん8例でした。マンモグラフィの感度は1年以内に乳がんが診断された場合を偽陰性とすると72%、2年以内に乳がんが診断された場合を偽陰性とすると52%となります。1994年まで追跡期間を延長し、平均観察期間11.4年の時点で2回目の報告がされています(ビジュアル構造化抄録5-2参照)。乳がん死亡率減少効果は全体で26%となりましたが、有意差は認めませんでした。ただし、50〜64歳では有意差をもって38%の死亡率減少効果を認めました。一方、40〜49歳では前回報告同様、検診群のほうが多く死亡しています。全体では、10,000人年あたり乳がん死が0.49人減ることになりました。スェーデンのストックホルム(Stockholm)で行われた研究です(ビジュアル構造化抄録5-1参照)。研究開始は1981年で40〜64歳のストックホルム南東部住人を対象としました。ランダム化は誕生日割り付け(1〜10日、21〜31日生まれを検診群、11〜20日生まれをコントロール群とする2:1割り付け)です。検診群は40,318人、コントロール群は20,000人がエントリーされました。検診方法は、マンモグラフィMLO1方向です。検診群は1981年3月〜1983年9月の間に1回目があり、その28カ月後の1983年9月〜1985年10月の間に2回目を行い、1986年12月までに診断された乳がんを追跡しています。一方、コントロール群は検診群に遅れて5年の1986年1月〜12月の間に1度だけ検診が行われています。平均観察期間7.4年の時点で報告されました。この研究は検診群の検診回数が4年半の間に2回のみであり、検診群の検診期間が終了後にコントロール群も1回検診を受けているため、差が出にくい研究デザインと考えられます。 5 Stockholm Trial1)平均観察期間7.4年での初回報告10)
元のページ ../index.html#2