図1●「乳がん検診 見逃す恐れ」(読売新聞,2016年6月12日付)*青枠は筆者にて記載1042016年、読売新聞のトップページに、“見逃しのおそれ”というタイトルで、“国が行っている(対策型検診の)マンモグラフィ検診で異常が見えにくいにもかかわらず受診者に対して異常なしと通知されるケースがあることが分かった”という記事が掲載されました(図1)。この影響は大きく、厚生労働省より、マンモグラフィ検診受診者に対して乳房構成を通知すべきかなどについて、今後の対応要請があり、日本乳癌検診学会およびその関連学会代表者でワーキンググループを設置し検討することが決定されました。ワーキンググループで最初に行ったのは“高濃度乳房”の定義です。マンモグラフィでは脂肪と乳腺組織の比率によって、乳房構成を4つに分類しています。脂肪が多いほうから、①脂肪性、②乳腺散在、③不均一高濃度、④極めて高濃度の4つです(図2)。現在、国際的にもこの分類が普及していることも鑑み、ワーキンググループでは③不均一高濃度と④極めて高濃度を“高濃度乳房”と定義することとなりました1)。したがって、高濃度乳房とはあくまでも乳房構成による用語ということになります。しかし、当時患者団体のみならず医療者側でも高濃度乳房があたかも1つの疾患のように誤解され、大きな問題となりました。マンモグラフィには、腫瘤を形成する乳がんのX線吸収率が正常乳腺のそれと近いために、正常乳腺と隣接する、あるいは重なり合う腫瘤は検出されにくい 1 “高濃度乳房”が課題となったきっかけ 2 高濃度乳房とは何か
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