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 2022年に日本ヘルニア学会理事に就任したと同時に,蜂須賀丈博理事長のご指示でガイドライン委員会の委員長を拝命したことが,ガイドライン改定作業にかかわるきっかけでした。その後日本ヘルニア学会の一般社団法人化,ガイドライン委員会からガイドライン作成検討委員会への変更に伴う委員の変更など大きな変革を経たこともあり,改定作業に予想以上の時間を要しましたが,何とか発刊に至ったことは大きな喜びであります。 2024年版のガイドラインでは,大腿ヘルニアも含む鼠径部ヘルニアと小児分野を広くカバーするという初版の特徴は継続したうえで,より詳細なデータ解析を行うために新たにメタアナリシスを行っています。結果としてクリニカルクエスチョン(CQ)としては,成人,小児合わせて32カテゴリーで,2015年版の40カテゴリーに比較してやや少なくなってはいるものの,ページ数は106ページから20ページほどの増加となっています。作成に携わっていただいた関係者の方々には,大変な作業であったにもかかわらず,また日常診療などでご多忙の中,快くご協力いただいたことに心よりお礼申し上げます。 本ガイドラインは,ガイドライン評価部会の先生方の評価の後に,パブリックコメントを経て発刊されるものですが,評価部会より,“ガイドライン作成にあたり一般人,生命倫理の専門家,メディア代表者,法律の専門家が入るべきである”とのご指摘がありました。 また,“内容が外科医を対象としたCQに偏っており,外科医以外の医師の参考にもなるような,鼠径部ヘルニアの総論的な視点を含むCQも必要である”とのコメントもいただきました。いずれも的を射たご意見であり,今回のガイドラインに不足している部分であることは否めないと考えています。これらに関しては,現時点では十分な改善に至っていないのが現状であり,今後の課題として継続的に検討させていただきたいと存じます。加えて,発刊後もみなさまのご評価をいただき,よりよいガイドラインの作成・改訂を目指したいと考えておりますので,ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。ix一般社団法人 日本ヘルニア学会ガイドライン作成検討委員会委員長 井谷 史嗣発刊にあたって発刊にあたって

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