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CQ6: リンチ症候群のスクリーニングを目的とした大腸癌に対してDNAミスマッチ修復機能欠損を調べるユニバーサルスクリーニング(UTS)を行うべきか?エビデンスレベル:C,推奨度:1,合意率:94.4%リンチ症候群をスクリーニングするために大腸癌に対してユニバーサルスクリーニングを実施することを強く推奨する。 リンチ症候群の診断に対するユニバーサルスクリーニング(UTS)の有効性と医療経済を検討したメタアナリシス1編,前向きコホート研究4編,遡及的研究9編,ガイドライン4編,また,ハンドサーチにより1編を抽出した。 リンチ症候群のスクリーニング方法として臨床病理学的情報を利用したAmsterdam基準Ⅱ(ACⅡ)や改訂Bethesdaガイドライン(rBG)が用いられてきたが,より感度の高い臨床病理学的基準であるrBGでも12~28%のリンチ症候群患者を同定できない1—3)。また,実際の臨床現場においては,がん家族歴を含む臨床病理学的情報を正確に把握することはしばしば困難であることが指摘されている4)。大腸癌患者を対象とした4つの大規模コホート研究の統合解析では,計10,206名の大腸癌患者のうちリンチ症候群は3.1%であったが,ACIIを満たす大腸癌患者は2.5%で,特異度は97.9%と高いものの,感度は27.2%と低かった。一方,rBGに合致する患者は39.8%で,リンチ症候群診断の感度は88.1%と高いものの,特異度は54.4%と低かった2)。この結果から,臨床病理学的因子を基にしたリンチ症候群のスクリーニングは感度に限度があるとともに,感度と特異度の両立が困難であることが示唆される。 近年,欧米ではマイクロサテライト不安定性検査(MSI検査)またはミスマッチ修復蛋白質の免疫組織化学検査(MMR—IHC検査)を用いたリンチ症候群のスクリーニング検査として全大腸癌患者を対象としたUTSが広く行われるようになっている。UTSはACIIやrBGを用いたスクリーニングと比較して一人のリンチ症候群を診断するための費用は高いが5),臨床病理学的情報に依存せず,リンチ症候群診断の感度は極めて高い。また,スクリーニングによる獲得質調整生存年(quality adjusted life years:QALY)を考慮した費用対効果の検討からUTSは有用な検査であると位置づけられている6—8)。これらの結果をもとに,海外のガイドラインでは全大腸癌患者を対象としてUTSを行うことが推奨されている9—11)。 一方,本邦におけるスクリーニング検査費用やリンチ症候群の患者頻度を考慮したUTSの費用対効果分析は行われていない。なお,本邦の大腸癌患者に占めるリンチ症候群患者の割合は約1%であり12—15),近年報告された全世界の報告を対象としたメタアナリシスによる2.2%との結果と比較して低いため16),本邦におけるUTSの費用対効果は欧米より低い可能性がある。また,費用対効果の観点からは,高齢の大腸癌患者ではリンチ症候群患者の占め

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