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診断・治療 CQ1477Ⅲ推 奨背景・目的 リンパドレナージには用手的リンパドレナージ(manual lymphatic drainage;MLD)とシンプルリンパドレナージ(simple lymphatic drainage;SLD)がある。MLDはリンパ管の自動運動を活発にするとともに,リンパ液を正常なリンパ管に誘導することによって停滞しているリンパ流を改善すると考えられている。一方のSLDは,患者および家族が自宅でより簡便に行えるリンパドレナージであり,MLDの補完としての意味合いがある。しかしながら,MLD自体がその有用性や適切な施行方法が確立されていないのが実状である。その理由として,MLDはリンパ浮腫複合的治療(MLD,圧迫,運動,スキンケア,日常生活指導)の構成要素の一つであり,単独で行うことはほぼない。また,リンパ浮腫複合的治療のなかで圧迫療法は長時間施行するものであり,その治療効果が強力であるため,MLDの付加価値を判定することが難しい。さらに,MLDはマンパワーや費用対効果を考慮すると回数や時間に制限があるため,効果を発揮しきれない面もある。SLDに関しては,毎日施行することができるが,やはり圧迫療法と併用して行われるため,その効果を評価することが難しい。自分の四肢に触れることで,自分のリンパ浮腫の変化に気付けるという意味はあるが,治療としての効果は少ない。本CQでは,報告されている論文からMLDとSLDの治療効果について検討した。解 説1)上肢について リンパ浮腫を発症した場合,標準治療方針はリンパ浮腫複合的治療であり,MLD単独ではなく,圧迫療法やエクササイズ,スキンケアと併用した治療を行う。したがって,報告されている論文においてもMLD単独ではなく,圧迫療法との併用の効果検証のみであった。a. リンパ浮腫患者に対する用手的リンパドレナージ(MLD)の有効性に関する質の CQ14a. 続発性リンパ浮腫に対して,用手的リンパドレナージ(MLD)は標準治療として勧められるか?b. 続発性リンパ浮腫に対して,シンプルリンパドレナージ(SLD)は標準治療として勧められるか?高い根拠は上肢・下肢ともに少なく,症例の選択は慎重に行われるべきである。        は上肢・下肢ともさらに科学的根拠に乏しく勧められない。上肢:グレードC1 下肢:グレードC1b. シンプルリンパドレナージ(SLD)はMLDと併用されることが多く,単独のSLD上肢:グレードC2 下肢:グレードC2

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