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3 採択された論文 4 アウトカムごとのシステマティックレビュー結果❶ 感 度 MRIを含む検査方法での乳癌検出感度(66.7~100%)はMRIを含まないサーベイランス(19~81%)より高かった1)~11)。BRCA1とBRCA2間の差異については論文数がまだ少ないため,今後さらなる検討が必要である。すべてが観察研究であるが,研究の直接性は担保されており,研究数も多いことから,エビデンスの確実性は強とした。【エビデンスの確実性:強】❷ 偽陽性率 MRIを含むサーベイランスの偽陽性率は1編のみ45%,あとは10%未満と示されており1)~9),MRIを含まないサーベイランスの偽陽性率と比較し顕著な差はないと考えられた。BRCA1とBRCA2間の差異については論文数がまだ少ないため,今後さらなる検討が必要である。研究の異質性,研究数が少ないこと,すべてが観察研究であるが,研究の直接性は担保されており,研究数も多いことから,エビデンスの確実性は強とした。【エビデンスの確実性:強】❸ 全生存率 5編の観察研究12)~16)でMRIを含むサーベイランスの生存率が示されていた。MRIを含むサーベイランスとMRIを含まないサーベイランスの10年生存率の比較では,それぞれ95.3% vs. 87.7%12),100% vs. 85.5%14),90.1% vs. 87.0%15)であった。研究数が少なく,長期の観察期間の研究が不足していることからエビデンスの確実性は中程度とした。【エビデンスの確実性:中】❹ 有害事象 有害事象については,乳房造影MRI検査に関する論文はあがらなかったが,マンモグラフィの被曝による乳癌発症リスクに関する報告があった17)~19)。過去にマンモグラフィを受けた回数や初回の年齢による比較のうえでは乳癌発症リスクの有意差は認めていないが,30歳以前よりマンモグラフィを毎年受けることによる影響は定かではないと結論付けられていた。 研究数が少ないことや,被曝に関する情報がアンケート調査によるデータ収集のため想起バイアスによる影響が否定できないことから,エビデンスの確実性は中程度とした。【エビデンスの確実性:中】❺ 費用対効果 費用対効果については,MRIとマンモグラフィの併用は,マンモグラフィ単独と比較して平均余命(life expectancy)およびQALYは増加するものの,年齢や病的バリアントのある遺伝子(BRCA1かBRCA2)等によって費用対効果は異なる可能性が示唆されていた20)21)。欧米とわが国とで医療の費用が異なるため,欧米のデータをわが国に適応することはできず,エビデンスの確実性は中程度とした。【エビデンスの確実性:中】乳癌領域 「感度」「偽陽性率」「全生存率」「有害事象」については,観察研究19編を選択,「費用対効果」についてはシミュレーション2編を選択,「患者の意向」についてはアンケート調査4編を選択し,それぞれに対して定性的なシステマティックレビューを行った。乳癌CQ4145

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