注1 shared decision making(共同意思決定) 医療者と患者が共同して,患者にとって最善の医療上の決定を下すに至るコミュニケーションのプロセスで,患者参加型医療の根幹をなす。従来のインフォームド・コンセントより,意思決定にあたり患者が主体的に関わり,患者の価値観をより重要視する。1)補助化学療法5薬物療法(Ipi)・ 術後補助化学療法は,R0切除が行われた治癒切除例に対して,再発を抑制し予後を改善5.薬物療法 37・ 薬物療法には,術後再発抑制を目的とした補助化学療法と,延命や症状緩和などを目的と・ 治療の実施やレジメンは,腫瘍因子(進行度,組織型,原発巣部位,バイオマーカーなど)から期待される効果だけでなく,治療因子(有害事象,QOL,治療コストなど),患者因子(年齢,併存疾患,想定される副作用に対する嗜好,治療意欲など)を考慮して,必要な情報を医療者と患者が共有した上で一緒に治療方針を決定する(shared decision making注1)。・ 本邦の保険診療として,大腸癌に対する適応が認められている標準治療に用いる薬剤にはした切除不能進行・再発大腸癌に対する薬物療法がある。以下のものがある。殺細胞性抗癌薬: fluorouracil(5‒FU),5‒FU+levofolinate calcium(l‒LV),tegafur uracil(UFT),tegafur gimeracil oteracil potassium(S‒1),UFT+calcium folinate(LV),capecitabine(Cape),irinotecan hydrochloride hydrate(IRI),oxaliplatin(OX),trifluridine/tipiracil hydrochloride(FTD/TPI)など分子標的治療薬: bevacizumab(BEV),ramucirumab(RAM),aflibercept beta(AFL),cetuximab(CET),panitumumab(PANI),regorafenib hydrate(REG),encorafenib(ENCO),binimetinib(BINI),entrectinib(ENTR),larotrec-tinib(LARO),trastuzumab(TRA),pertuzumab(PER)免疫チェックポイント阻害薬: pembrolizumab(Pembro),nivolumab(Nivo),ipilimumabする目的で,術後に実施される全身薬物療法である。適応の原則(1)R0切除が行われたStage Ⅲ大腸癌(結腸癌・直腸癌)。(2)術後合併症から回復している。(3)Performance status(PS)が0~1である。(4)主要臓器機能が保たれている。
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