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1 組織型1 良性上皮性腫瘍1.1 腺腫 Adenoma注: 腺腫はときに粘膜下層へ内反性増殖を示すことがあり,偽浸潤と呼ばれる。病理診断時には注意を要する。1.1.1 管状腺腫 Tubular adenoma1.1.2 管状絨毛腺腫 Tubulovillous adenoma1.1.3 絨毛腺腫 Villous adenoma1.1.4 鋸歯状腺腫 Traditional serrated adenoma2 悪性上皮性腫瘍注: 癌と腺腫成分が共存する場合,腺腫を伴う癌(carcinoma with adenoma)とする。癌成分と腺腫成分の量比により次の 2 型に分けることがある。a. 腺腫内癌(carcinoma in adenoma):癌成分が腺腫成分より少ないもの(図 31)。42 Ⅲ.病理学的事項の説明[附‒組織図譜]肉眼的に 0—Ⅱa 様の隆起から,無茎性あるいは有茎性の 0—Ⅰ型様隆起までの形態をとる。表面は顆粒状,分葉状,結節状,脳回状であることが多いが,ときに乳頭状,絨毛状ないし八つ頭状を呈する。腺腫は組織学的に,管状腺腫,管状絨毛腺腫,絨毛腺腫,鋸歯状腺腫に細分類される。腺腫は種々の程度の構造異型や細胞異型を示す。その異型度によって,低異型度腺腫(low—grade adenoma:従来の軽度異型 mild atypia と中等度異型 moderate atypia に相当),高異型度腺腫(high—grade adenoma:従来の severe atypia に相当),両者が混在したものに分けられる(図 28~30)。ほぼ全体が管状構造で形成される腺腫。一般に増殖の強い部分は表層部に存在する(図 28,29)。管状腺腫と絨毛腺腫の中間型ないし混在型(図 30)。ほぼ全体が狭い間質を有し,分岐することなく粘膜筋板直上から櫛状に突出する腺管からなる腺腫。一般に増殖の強い部分は表層部にあるが,全体に及ぶこともある。腺管の表層側で鋸歯状構造を示す腺腫で,好酸性細胞質やスリット状の鋸歯状構造を特徴とする。陰窩の芽出像ないし異所性陰窩(ectopic crypt formation, ECF)と呼ばれる組織像もしばしば伴う。核は紡錘形で高密度,偽重層化を示す。組織型は以下に示すように分類する。種々の組織型が混在するときは,組織標本上で面積的に最も優勢な(predominant)組織型をもってその腫瘍を代表する組織型とし,異なる組織型を含めてすべて優勢像から列記する(例:tub1>pap)。

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