2 1. TNM分類た2)。さらにIASLC(世界肺癌学会)が1999年から2010年の間に診断された9万例を超えるデーはじめに TNM分類は癌の進展度の正確な記載および分類であり,治療計画の設定・予後の示唆・治療効果の評価などの目的がある。Tはtumor(原発腫瘍の進展度),Nはlymph node(所属リンパ節転移の有無),Mはmetastasis(遠隔転移の有無)を表し,各々の組み合わせにより病期(stage)が定められている。TNM分類には治療の前に得られた臨床情報から病変の広がりを評価するTNM臨床分類(cTNM)と,治療前に得られた証拠に手術と病理学的検査を追加して得られたTNM病理学的分類(pTNM)がある。 UICC(国際対がん連合)による肺癌TNM分類は1997年の大幅な改定後1),2002年に小変更が加えられた第6版が使用されてきたが,2009年に第7版が出版され,2010年より運用が開始されタベースをもとに改定案を提案し3),UICCに承認され,第8版が2017年に出版された。そして,今回,IASLCが2011年から2019年の間に診断された12万例を越えるデータベースを解析して出版したステージングマニュアル4)をもとに,2025年1月からは第9版のTNM分類が適用される。 第9版では,第8版で大きく変更があったT分類5)6)については,変更がなく7),第9版の主な変更点は,N分類8)とM分類9)であり,それに応じて病期分類が変更される10)。 N分類については,N2が,単一ステーションへの転移の場合にはN2a,複数ステーションへの転移の場合にはN2bに細分化される。 M分類については,M1cにおいて,胸腔外一臓器への多発転移の場合,M1c1に,胸腔外多臓器への多発転移の場合,M1c2に細分化される。 以上のTNM分類の変更に伴い,病期分類の変更が生じる。詳しくは,第8版のT1N1M0(IIB期)が,第9版ではIIA期となる。さらに,第8版のT1N2M0(IIIA期)が,第9版ではT1N2aM0(IIB期)とT1N2bM0(IIIA期)になる。また,第8版のT2N2M0(IIIA期)は,第9版ではT2N2aM0(IIIA期),T2N2bM0(IIIB期)となる。なお,第8版のT3N2M0(IIIB期)は,第9版ではT3N2aM0(IIIA期),T3N2bM0(IIIB期)となる。一方,第8版のM1cについては,第9版ではM1c1とM1c2に細分化されているが,IVB期のままである。
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