目 的 対象とする利用者 対象とする患者 背 景 使用方法 胃癌は本邦で最も罹患率の高い悪性腫瘍の一つであり,2019年の統計では男性で前立腺癌,大腸癌に次いで3番目に多く,女性では乳癌,大腸癌,肺癌に次いで多い。胃癌は世界的に減少傾向にあるが,日本では男性,女性ともにやや減少傾向である。 今日本邦で発見される胃癌のほぼ半数が早期癌であり,内視鏡的切除などさまざまな低侵襲治療法の開発が進む一方,進行癌に対する薬物療法の選択肢も増えてきた。しかし全国の医療機関で,これら多様化する治療法の適用には格差がある。 1)胃癌の治療法についての適正な適応を示す 2)胃癌治療における施設間差を少なくし,患者の予後の改善を図る 3)治療の安全性と治療成績の向上を図る 4)無駄な治療を廃して人的・経済的負担を軽減する 5)医療者と患者の相互理解に役立てる 本ガイドラインが対象とする主な利用者は,胃癌治療に携わる医療機関の医師,看護師,薬剤師などの医療者である。胃癌患者とその家族にも参考となる情報を提供する。 本ガイドラインは本邦の胃癌患者を対象とする。 本ガイドラインは治療の適応についての目安を提供するものであり,臨床の現場において活用できる。ただし,ガイドラインに記載した適応と異なる治療法を施行することを規制するものではない。本ガイドラインは,本邦の胃癌臨床研究が本ガイドラインの推奨する治療を標準治療群に設定して計画・展開されることを期待している。 本ガイドラインは患者に対するインフォームド・コンセントを得る場合に有用と考える。治療法の説明と同意にあたり,医師は患者とともに本ガイドラインを参照し,各治療法の位置づけと内容を平明に説明して患者の理解を得るよう努めること10 Ⅰ章 本ガイドラインについて 1 胃癌治療ガイドラインの目的・対象・使用方法
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