第5章 1 家族歴聴取と家系図記載法213*:ラポール 遺伝カウンセリング担当者とクライエントとの信頼関係を指す心理学用語。第3度曽祖父第2度祖父祖母第1度父母姪甥孫 相談者姉妹子ども姪甥曽祖母大おじおじいとこ甥の子ども曽祖父大おばいとこ姪の子ども曽祖母祖父祖母おば兄弟ひ孫図5-1 家族歴聴取の対象となる近親度孫),第3度近親者(曽祖父母,大おじ,大おば,いとこ,甥・姪の子ども,ひ孫など)(図5-1)を目安にがんの診断や治療に関わる情報,現在の健康状態について確認する。2. 家族歴聴取の内容 家系図作成の際に聞き取る内容は,クライエントを中心とした家系員の構成と年齢,故人では死亡年齢,がんの既往歴がある場合はがん種と診断時年齢(年代などの目安がわかると参考になる),病期,タイプ(組織型,サブタイプなど),単発か多発か,片側か両側か,原発か再発か,治療内容などである。遺伝性腫瘍症候群の特徴(①若年でのがん発症,②多重性,重複性,あるいは両側性のがん,③特徴的な組織型のがん,④特徴的な身体所見,⑤発生頻度が低い希少がんなど)を念頭に置いて,必要な情報を確認する。本人の記憶が不正確なことも想定されるため,質問の仕方の工夫や,状況に応じて病理レポートの確認や診療情報提供書の取り寄せを検討する。また血縁者の遺伝学的検査の情報がある場合は,その検査レポートで解析対象遺伝子や解析方法,結果を確認することでより詳細なリスク評価が可能となる。 血縁者についての家族歴聴取ではがん罹患歴のある個人に留まらない。がん罹患歴のない個人も何歳頃まで生存してがんの罹患歴がないのかは,家系図の全体像からリスク評価するうえで必要な情報である。また,血縁者についてがん関連検査等の受検歴(どの検査をいつ受けて,結果
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