112 腎癌の生涯発症リスクが高い遺伝性腫瘍症候群もしくは原因遺伝子としては,von Hippel-Lindau病(□□□),Birt-Hogg-Dubé症候群(□□□□),遺伝性平滑筋腫症腎細胞癌症候群(□□腫瘍易罹患性症候群)(□□),遺伝性乳頭状腎細胞癌(□□□),遺伝性褐色細胞腫・パラガングリオーマ症候群(□□□□,□□□□,□□□□),Cowden症候群/□□□□過誤腫症候群(□□□□),結節性硬化症(□□□□,□□□□),Lynch症候群(□□□□,□□□□,□□□□,□□□□,□□□□□),□□□関連Wilms腫瘍(Wilms腫瘍易罹患性)(□□□)もしくは□□□□,□□□□□,□□□□□に生殖細胞系列の病的バリアントを保持する者が挙げられる。□□□□□□症候群(□□□□□□腫瘍易罹患性)(□□□□□□)では,囊胞性腎腫の発症リスクがある。 遺伝性腎腫瘍は原因遺伝子毎に腫瘍特性が異なり,それぞれ経過観察法や治療法が異なる 1)。腫瘍の発生前から,遺伝性腎腫瘍の家系を発見し,GPV保持者を適切な時期からのサーベイランスへと導くことが重要である。 GPV保持者の腎サーベイランスの開始時期は遺伝性腎腫瘍毎に異なり,それぞれの遺伝性腎腫瘍における最年少報告例の発症年齢より前に腎サーベイランスを開始する。方法としては,腹部超音波検査,腹部CT検査,腹部MRI検査などの画像検査を半年〜3年毎に行うが,検査の間隔は発生し得る遺伝性腎腫瘍の腫瘍特性に応じて設定する 1)。 遺伝性腎腫瘍は原因遺伝子毎に腫瘍特性が異なり,監視療法が可能な遺伝性腎腫瘍と,即時手術を検討する遺伝性腎腫瘍に大別される。監視療法が可能な遺伝性腎腫瘍としては,von Hippel-Lindau(VHL)病,Birt-Hogg-Dubé(BHD)症候群,遺伝性乳頭状腎細胞癌(HPRC),□□□□腫瘍易罹患性症候群が挙げられる。これらは両側多発性,異時性に発生するため,制癌と腎機能温存のバランスに配慮して,アメリカでは最大腫瘍の径が3cmに達したところでの外科治療が考慮されるが,日本人については欧米人との体格差を考慮して,2cmに達したところで外科治療が考慮される 2, 3)。VHL関連腎癌,BHD関連腎癌,HPRC,□□□□関連腎癌は,それぞれ年間に0.37cm,0.1cm,0.15cm,0.6cmずつ増大することが報告されているが,□□□□関連腎癌は比較的増大速度が速いため厳重監視の上,早期の介入を検討する 3)。即時手術を検討する遺伝性腎腫瘍としては,遺伝性平滑筋腫症腎細胞癌症候群(HLRCC)や遺伝性褐色細胞腫・パラガングリオーマ症候群(PPGL)があり,これらは小径でもリンパ節転移を伴うことがあり悪性第3章 遺伝性腫瘍症候群の臓器別マネジメント 1 1 概要 2 2 サーベイランス方法3 3 外科治療腎臓1111
元のページ ../index.html#9