■第1章 分子標的薬(本症例は10ページと同一症例である)診断名:皮膚乾燥,湿疹重症度評価:Grade 3,重症原因薬剤:セツキシマブ支持療法: 一段階減量。Strongest classの副腎皮質ステロイド(デルモベート®軟膏など)外用,ロキシスロマイシン300 mg/日内服,抗アレルギー薬(アレジオン®など20 mg/日)内服〔概要〕50代女性。中咽頭がん,多発肺転移。既往歴:薬剤性肝障害(ミノサイクリン)。一次治療FP(フルオロウラシル,シスプラチン)+ペムブロリズマブ療法を実施,病態進行のため,二次治療weeklyパクリタキセル+セツキシマブ(パクリタキセル80 mg/m2,セツキシマブ初回400 mg/m2, 2回目以降250 mg/m2)を開始した。支持療法薬ミノサイクリンによる薬剤性肝障害Grade 1を生じたが,重篤な副作用なく経過した。このため8週後,セツキシマブを隔週・倍量に変更した(1病日)(パクリタキセル80 mg/m2 day 1,8,15,セツキシマブ500 mg/m2 day 1,15 4週ごと)。14病日,皮膚の疼痛を主訴に患者が予定外に受診した(図1)。体幹部に乾燥・ヒリヒリする疼痛・そう痒を訴え,睡眠障害を伴った[そう痒VAS(Visual Analogue Scale) 9]。セツキシマブによる皮膚乾燥,湿疹Grade 3と診断した。図1 セツキシマブによる皮膚乾燥,湿疹,Grade 3上背部に鮮紅色の丘疹が線状に集簇・多発し,肩には鱗屑を伴う。掻破により皮疹が誘発され(ケブネル現象),肌着に覆われた部位は掻破を免れたことが示唆される(矢頭)。26症例4
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