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日本乳癌学会 教育・研修委員会委員長  山内智香子教育・研修委員会 乳腺腫瘍学改訂ワーキンググループ委員長  石 黒 洋 乳腺腫瘍に対する診療と研究は,近年目覚ましい発展を遂げています。予防から診断,治療や経過観察に至るまで,新たな研究・臨床結果が次々と発表され,エビデンスが創出されています。本書「乳腺腫瘍学」は,2012 年に日本乳癌学会が監修する乳腺腫瘍学の教科書として初版されました。以来,本書は乳腺診療に携わる医療者に必要な知識を網羅し,乳腺専門医を目指す医師に必携の教科書としても幅広く利用されてきました。基礎的な病態生理から診断,治療,さらには治療後の管理や患者支援に至るまで,幅広いテーマを網羅しています。また,各章は乳腺腫瘍に関してさまざまな分野で活躍する専門家が執筆を担当しており,エビデンスに基づいた情報を簡潔かつ明確に提供するよう配慮されています。 乳腺診療に関わる医療者には,「乳癌診療ガイドライン」や「乳癌取扱い規約」がバイブルとして用いられていますが,本書はこれらのエッセンスを含みつつ,これらの中では触れられていない重要な知見も補完する形で構成されています。最新の知見を乳腺診療に携わる皆様にお届けするために,このたび改訂第 5 版を上梓いたしました。となり,編集作業を進めてきました。分担執筆者は原則として乳腺専門医とし,教育・研修委員会委員がレビューアーを務め,日本乳癌学会の責任のもとに編集しました。て,最新の情報やエビデンスを反映してアップデートしました。治療分野では治療法別の構成に加え,AYA 世代や高齢者のように横断的な項目も含め,さまざまな視点からのアプローチを意識した包括的,かつ実践的な教科書を目指しました。特に,この第 5 版では,高齢乳癌患者に対する治療について,各項目でより踏み込んだ記載を各執筆者にお願いしました。標準治療とみなされないものの,将来展望に有益な情報については,一部コラムとして独立して記載しています。 第 4 版と同時に発刊されました「乳癌診療ガイドライン 2022 年版」についても,web 改訂された部分も含め,より実診療に即した形で記載しています。編集や校正については,これまでに増して,ワーキンググループを中心に,多くのメンバーで細部にわたりより良い内容と表現に校正作業を行いました。 本書が,乳腺腫瘍に携わるすべての医療従事者にとって,日々の診療や研究活動における有用な道標となり,患者さんに対するより質の高い医療の実現に貢献する一助となることを心より願っております。 最後に,本書の執筆や校正に多大なる尽力をいただいた執筆者・編集委員,金原出版の佐々木瞳氏に深く感謝申し上げます。1 .作成の主体 教育・研修委員会において,乳腺腫瘍学改訂ワーキンググループ(WG)を結成し,そのメンバーが中心2 .第 5 版の特徴 第 4 版の構成を基本的には引き継ぎつつ,目覚ましい乳腺診療の進歩に合わせ,各分野・領域においxvi『乳腺腫瘍学』について

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