1-1. 合併症チェック・ 危険な出血でPT⊖INRが延長している場合には,ビタミンK2 10~20 mgを緩徐静注(1 mg⊘分)する。⿎虚血性心疾患:既往があるか,心電図で異常所見があれば少なくとも負荷心電図(歩行困難なら心筋シンチグラフィ)と心エコーを施行して循環器内科にコンサルトする。表Ⅰ—1—1 抗血栓薬・抗凝固薬の術前休止時期a. 現在服薬中の薬の確認⿎服薬続行の必要性と各処方薬の副作用や併用⿎特に抗血栓薬は担当医に確認し,休止可能かどうかコンサルトが必要である。表Ⅰ—1—1に抗血栓薬の術前休止時期を示すが,中断によって脳梗塞や心筋梗塞などの血栓性疾患の危険性が増すことを説明して同意を得る必要がある。プロトロンビン時間(PT)<60%はコンサルトが必要である。⿎ワルファリン(半減期40時間前後)投与中の患者は,必ず処方医あるいは循環器科にコンサルトすることが必要で,以下の点に注意する。・硬膜外ブロックは原則禁忌である。・ PT(PT⊖INR)でワルファリンのコントロール状態を確認し,手術3~4日前には投与を中止するのが基本だが,抗凝固療法の継続が必要なら半減期の短い(半減期60分)ヘパリン(10,000~15,000単位⊘日)に変更し,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が正常対照値の1.5~2.5倍に延長するよう投与量を調整する。手術の4時間前にヘパリンを中止す禁忌を把握する。b. 合併症の確認⿎糖尿病:コントロール不良(空腹時血糖>200 mg⊘dLまたは過去1~2カ月の血糖値の指標となるHbA1c>8.0%)であれば内科医にコンサルトする。るか,手術直前に硫酸プロタミンで中和する。いずれも手術直前にAPTTを確認する。術後速やかにヘパリンを再開するが,その時期に関しては循環器専門医に相談する。⿎非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は手術日が決定したら,7日前を目標に中止を考慮する。⿎高血圧:心電図異常や胸部X線で心拡大があれば,心機能評価のため心エコーを施行しておく。⿎呼吸器疾患:間質性肺炎を疑う場合は,KL⊖6あるいはSP⊖A・SP⊖Dなどの血液マーカーをチェックして呼吸器内科にコンサルトする。パナルジン®(塩酸チクロピジン),プラビックス®(クロピドグレル)バイアスピリン®・バファリン®(アスピリン),エパデール®・ロトリガ®(イコサペント酸エチル)ワルファリンプレタール®(シロスタゾール)プラザキサ®(ダビガドラン),イグザレルト®(リバーロキサバン),エリキュース®(アピキサバン),リクシアナ®(エドキサバン)アンプラーグ®(塩酸サルポグレラート),ペルサンチン®・ジピリダモール,プロレナール®・オパルモン®(リマプロストアルファデクス),ドルナー®・プロサイリン®(ベラプロスト)10~14日前 7日前 5日前 2~3日前24~48時間前 1~2日前1術前評価
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