1-2. 問診1-3. 診察⿎Trendelenburg徴候(図Ⅰ—1—1)の有無を確認⿎Time course:経時的に悪化しているか,改Ⅰ総論術前評価b. 歩行障害の有無とその自覚時期⿎歩き始めが困難か,徐々に歩きにくくなるのかは脊髄由来の歩行障害か腰椎由来の間欠跛行かを知る手がかりとなる。 脊椎疾患の主訴は痛みか歩行障害が多い。以下のa.~e.は特に重要事項なので必ず記載するように心がける。a. 痛みのOPQRST1) Onset:突然出現したか,徐々に出現したか,初発症状とその出現時期,その契機,外傷の有無とその内容 Provocation⊘Palliative factor:増悪⊘寛解因子 Quality:性状 Region⊘Radiation⊘Related symptoms:部位⊘放散⊘関連症状 Severity:強さ,特に,いままでにもあった痛みか,いままでに経験したことのない痛みか Temporal characteristics:持続時間や経時的変化・日内変動⿎安静時痛や夜間痛の有無が特に重要である。⿎動作時痛のある場合は,どのような運動で痛みがでるか。⿎数分以内に治まる胸痛・背部痛は狭心症も念頭に置く。善傾向にあるか。⿎痛みの客観的評価:部位については患者自身によるpain drawingを用いる。程度についてはVisual Analog Scale(VAS)またはNumeri-cal Rating Scale(NRS)を用いる。▷背部痛・腰痛 ありふれた主訴だが,落とし穴も多いので注意する。特に,① 急性発症,② いままで経験したことがない,③ 悪化傾向を認める背部痛や腰痛,は要注意である。激痛ならばまず脊椎炎(化膿性・結核性)と腫瘍を除外する必要がある。背部痛が激痛ならばそれらに加えて解離性大動脈瘤など血管性疾患も念頭に置く必要がある(移動する痛みや高血圧・四肢の血圧差なども参考にする)。特に,non⊖mechanicalな夜間痛や焼けるような激痛(burning pain)はred flagsとして対処する。c. 受診までの治療内容⿎牽引,薬剤,ブロック治療とその効果や効果e. 家族歴⿎先天性疾患や脊柱変形およびOPLLでは家族⿎Romberg徴候(p49)の確認やMann試験を行 Mann試験:踵とつま先を前後に付けて立ち,閉眼させる。深部知覚障害あるいは平衡障害で陽性となるRomberg徴候よりも鋭敏だが,高齢者では立位すら保持できず偽陽性者も多いのが難点である。この場合は足を前後に半歩ずらした姿勢(semi⊖tandem stand)で行う。b. 歩容観察⿎患者の歩き方をよく観察する。⿎杖,歩行器などの支持について,どの程度必持続時間を尋ねる。⿎手術歴とその前後の症状推移について尋ねる。d. 既往歴,合併症の有無と重症度⿎特に後縦靱帯骨化症(OPLL)の場合は糖尿病の有無と治療内容を確認する。歴が重要である。 視診→聴診→打診→触診に基づいた全身所見によるreview of systems(ROS)の把握を行う。そのうえで,脊椎疾患は,視診→歩容観察→可動域検査→触診→神経学的検査→特殊検査の順で診察を行う。a. 立位評価⿎立位バランス,片脚起立,立位での脊柱可動域を確認する。する。う。要かを記載する。⿎つぎ足歩行(tandem gait)ができるかどうか観察する。脊髄症で痙性歩行がはっきりしない軽症でも,つぎ足歩行をさせると不安定性が目立つことがある。⿎つま先歩きと踵歩きをさせることで,ある程度の筋力低下の評価は可能である。⿎平地だけでなく階段を使えるならば階段昇降 171
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