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図SA—4参照)が皮切前の有力な指標になるが,その他の指標は,以下の通りである。⿎舌骨:C3⿎甲状軟骨:C4‒5⿎輪状軟骨:C6⿎鎖骨:鎖骨から1横指頭側がおよそC7/T1,  進入側は通常大動脈のある左側からが多いが,右側からでも可能である。⿎第9,10肋骨切除では,通常T9‒L5に到達可2345 4)肩甲骨をスキャプラー・ハーケンで持ち上げると,後斜角筋が停止している肋骨が第2肋骨である。T4へのアプローチは通常第4肋骨を切離して進入する。肋骨上を奥まで剥離すると第1肋骨を触れることができる。体型にもよるが,さらに第3肋骨を基部と遠位で切るとT2に到達できることもある。※ 腋窩アプローチ:肩甲骨の前方から第3肋骨にアプローチして,内視鏡を利用しながら椎体に到達することも可能である。  鎖骨のすぐ下位で胸骨角(胸骨柄と胸骨体との結合部)に付いているのが第2肋軟骨である。胸椎側面と正面で目的とする椎体にかかる肋骨をみて,切除レベルを決定するが通常上中位胸椎では目的椎体の1レベル頭側,下位胸椎では2レベル頭側の肋骨から進入する(transthoracic approach)。進入側は上中位胸椎では,病巣に左右差がなければ右側が有利である。⿎第5肋骨切除:T5‒11⿎第6肋骨切除:T6‒12⿎第7肋骨切除:T7‒L1 側弯症に対する7椎間以上の前方固定術では,double thoracotomyが必要である。通常第8肋骨に沿った皮切で,第4⊖5肋間からT5の処理を行い第8⊖9肋間からT12の処理を行う。このとき肋骨(第5⊖9肋骨か第4⊖10肋骨)後方部を2~3 cm切除して胸郭形成術(thoracoplasty)を行うことも可能である。T7⊖L2, 3までの前方固定なら,通常第5または6肋骨と第10または11肋骨を切離する。この場合の皮切は斜めに1本の皮切でも平行に2本の皮切でも対処できる。  胸骨を縦割すれば,T2かT3まで展開できる。MRI矢状断像で上位胸椎の深さと胸骨・大動脈弓部と目的の椎体との関係をみておく(患者により前方アプローチでは上位胸椎が急峻なことがある)。一般的には,T2/3間は胸骨縦割が有利だが,T3/4間以下は経胸腔アプローチ(transthoracic approach)が有利である。  T3(T2)かT4までは通常のtransthoracic approachで到達可能である。 1)病変のlateralityと大血管との関係をCTで観察しアプローチ側を決めるが,基本的には右側から(奇静脈側)のほうが有利である。 2)肩甲骨の内縁から下縁にかけて皮切を加える※(上肢はやや低くすると肩甲骨が前方に移動しやすい)。 3)肩甲骨内縁に停止する大菱形筋はなるべく遠位で切離し,前方の広背筋は基本的には温存する。能である。 肩甲骨下縁から肋骨に沿ってrectus sheathの外側まで皮切を加える。肋骨を切除して開胸(または胸膜外にアプローチ可能)し椎体に到達したのち,胸腔側から横隔膜を切離し後腹膜に102  9.脊椎手術の基本と実際 4)胸鎖乳突筋の前縁から進入するのが一般的であるが,上位頚椎や多椎間の展開では椎体と胸鎖乳突筋の距離が頭側ほど広がるため外側からアプローチすることとなり展開が困難となる。このため,舌骨筋群を指標とする相庭・望月らのアプローチを採用している49~51)。 広頚筋(platysma)を皮切に沿って切開し,その背側を頭尾側に広げる。内側正中寄りには胸骨舌骨筋(sternohyoid muscle),その外側を斜めに走行する肩甲舌骨筋(omohyoid muscle)を指標とする49,50)。これを頭側から尾側にかけて同定し,肩甲舌骨筋の筋腹あるいは外縁と胸鎖乳突筋の内縁でできる三角部分から椎体に到達する51)。2横指頭側がC6/7頚胸椎移行部上位胸椎中下位胸椎胸腰椎移行部

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