治療法の選択近年の橈骨遠位端骨折に対する治療法Ⅱ1abc57骨内鋼線固定法で組み上げるなどの追加処置が必要となる6)。使用するPLPは多軸型,ないし単軸型であれば月状骨窩が有する遠位骨片の掌側骨皮質長が10mm以上ならば近位設置型,それ未満は遠位設置型を選択する6)。プレートの遠位設置は合併症の危険性を伴うため,掌側転位型骨折のみに限定して使用されるべきとの意見もある7)。2mmを超えて転位した関節面骨片は鏡視下または透視下,必要あれば背側から補助観血的に整復する。整復した関節面がKirschner鋼線(K-wire)で固定できない場合は,腸骨または人工骨移植で安定化させることもある(図Ⅱ-1.2)。関節面の整復位が獲得されたら,それを保持するようにPLPで固定する。関節内骨折に対するプレート選択も関節外骨折と同様であるが,掌側骨皮質長が10mmを下回るような掌側月状骨窩(VLF)骨片を有する場合は,骨片の再転位ならびに手根骨掌側(亜)脱臼を予防するためにも遠位設置型もしくは関節縁専用のPLPを使用する。関節内Colles骨折はVLF骨片を伴うことが少なく8),また合併していたとしても近位設置型のPLPで十分対応可能との図Ⅱ-1.2 関節面の観血的整復を必要としたPLP固定症例a 術前X線像およびCT像。陥没した関節面(矢印)が確認できる。b 術中所見。背側進入で直視下に陥没した関節面(矢印)を押し上げて,整復した(矢頭)。c 術直後X線像。遠位設置型のPLPで固定した。
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