c Barton骨折掌側型は別に項目を設けてあるので参照されたい(p176:掌側Barton骨折)。背側型は橈骨茎状突起部の骨折を伴う場合(背側Barton・chauffeur合併骨折)が多く(図Ⅱ-1.3a),橈骨遠位端骨折に占める頻度はそれぞれ単独が0.5%,合併が1.3%と稀である12)。橈骨茎状突起骨折合併の有無を問わず背側Barton骨折は手関節を支持する軟部組織の損傷が主体の外傷といえ,仮に徒手整復が可能であったとしても手関節は非常に不安定な状態にあると考えた方がよい。近年は手関節鏡や低線量X線透視装置の利用,骨アンカーによる靱帯修復術の簡素化もあり,積極的に手術療法を選択し,手関節の安定性を獲得すべきである(図Ⅱ-1.3b)。58報告7)もある。しかし,PLP固定後の手根骨掌側(亜)脱臼は決して掌側転位型骨折だけに発生するわけでなく,近位設置型PLPを使用した背側転位型関節内骨折においても生じており9),規範主義の立場からは掌側骨皮質長が10mmを下回るようなVLF骨片を有する関節内Colles骨折には遠位設置型もしくは関節縁専用のPLPの使用が望ましい。b Smith骨折関節外骨折であっても保存療法の治療成績は良好といえず10),関節内・外骨折に関係なく手術療法を基本とすべきである。関節内骨片の整復はColles骨折と同様に実施し,その後に内固定材としてPLPを使用するが,高齢者に対してはPTの矯正損失を防ぐために遠位設置型プレートを選択する11)。ab図Ⅱ-1.3 背側Barton・chauffeur合併骨折a 術前X線像。側面像で背側縁骨片とともに手根骨は背側へ亜脱臼し,正面像では橈骨茎状突起骨折を確認できた。b 術直後X線像。橈骨茎状突起骨片および背側縁骨片はK-wireまたは中空スクリューで固定した。2 患者背景年齢からみると患者は小児や成人,青壮年,高齢者など多岐に分類され,成人は青壮年や高齢者を含み,論文によって小児の取り扱いも異なる。そのため患者を年齢だけで
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