A脂肪性腫瘍1)異型脂肪腫様腫瘍・高分化型脂肪肉腫Atypical lipomatous tumor/Well-differentiated 図3 高分化型脂肪肉腫大小不同の脂肪細胞と線維性間質内の異型間質細胞がみられる。liposarcoma(図3)【定義】2)脱分化型脂肪肉腫Dedifferentiated liposarcoma(図4)【定義】局所侵襲性の間葉系腫瘍で,一部あるいは全体が脂肪性の増殖からなり,脂肪成分と間質成分の両者において少なくとも部分的な異型を示すものである。異型脂肪腫様腫瘍と高分化型脂肪肉腫という用語は,組織学的にも遺伝子的にも同一の腫瘍を意味する同義語であるが,前者は四肢や体幹壁例,後者は体幹深部例で用いられる。ほぼすべての症例においてMDM2やCDK4の遺伝子増幅が存在する。【ポイント】中年〜高齢者の深部軟部組織に好発し,特に後腹膜に多い。脂肪腫様亜型は大小不同のある脂肪細胞と線維性隔壁内の異型間質細胞からなる。硬化型亜型では線維組織が顕著にみられ,脂肪細胞や異型細胞が散見される。炎症型亜型では慢性炎症細胞浸潤を背景に少数の異型細胞を含む。脂肪芽細胞の存在は診断に必須でない。後腹膜では頻繁に再発するが遠隔転移することはない。異型脂肪腫様腫瘍・高分化型脂肪肉腫が,初発時からあるいは再発巣において,(通常は脂肪を形成しない)様々な組織学的悪性度の肉腫に増悪したものである。ほとんどの症例においてMDM2とCDK4の遺伝子増幅が存在する。高分化成分が同定できないこともある。3.組織型 35
元のページ ../index.html#5