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がん免疫療法の歴史は,1891年William Coley博士の免疫賦活療法の報告に始まる22)。現在,分類1に示す免疫療法23-25)があるが,近年,外科手術,化学療法,放射線療法とともに注目されている。特に,免疫担当細胞に発現する共抑制分子である免疫チェックポイント分子の阻害や,あるいは免疫共刺激分子の刺激によって,抗腫瘍免疫応答を増強できることが明らかになってきており臨床でも使用されている。開発分野ごとの分類は下記の通り(分類2)である。本項では代表的な治療法についてその特徴を記載する。●分類1.能動免疫療法と受動免疫療法1)能動免疫療法:患者体内の抗腫瘍免疫応答を刺激・活性化する①非特異的免疫賦活薬:クレスチン,ピシバニール,レンチナンなど②サイトカイン療法:インターフェロン,インターロイキン2③がんワクチン療法④樹状細胞療法⑤免疫チェックポイント阻害薬:抗PD-1抗体,抗PD-L1抗体,抗CTLA-4抗体など2)受動免疫療法:抗腫瘍効果を示すリンパ球やNK細胞などを体外で活性化して体内に戻す免疫細胞療法や抗体療法①非特異的リンパ球療法:LAK療法,NK細胞療法など②がん抗原特異的T細胞療法:TIL療法,TCR-T療法,CAR-T療法など③抗体療法●分類2.開発分野による分類(文献26より改変)1)免疫調節療法免疫増強・免疫抑制阻害により,免疫系の活性化・免疫抑制シグナル伝達の阻害を図る治療法:免疫チェックポイント阻害薬など2)養子免疫療法免疫細胞を体外で培養・活性化し,体内に戻すことで免疫系の活性化を図る治療法:CAR-T細胞療法,TCR-T細胞療法など3)腫瘍溶解性ウイルス療法がん細胞へ感染し,細胞死へ誘導する効果をもつウイルスを投与することによるがんの死滅,およびがん抗原の拡散によって免疫系の活性化を図る治療法114 Ⅳ.治療4.免疫療法

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