イドイ

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章 皮膚欠損創,剥脱創

作成にあたって,担当急性創傷の定義を行い,それに伴うCQならびにガイドラインを検討した。

〈皮膚欠損創の定義〉

・なんらかの外傷によって皮膚の一部が欠損した急性創傷である。当然一次閉鎖可能な小さな皮膚

欠損から大きな欠損まであるが,今回は,縫合できない中程度以上の皮膚欠損とした。さらに,
深さから分層皮膚欠損と全層皮膚欠損以上となるが,一般的な創傷治療の考え方として,分層欠
損は上皮化の誘導につとめ,全層欠損では次なる再建手術に向けよりよい母床作成を目標とする。

・例えば,包丁による手指の皮膚欠損創で一次縫合できないケースなどがある。

〈剝脱創の定義〉

・高速回転している機械による牽引力,圧迫,剪断力が皮膚に加わり,皮膚皮下組織が巻き込まれ

筋膜との連続性を絶たれた(部分,完全)急性創傷である。

・外傷を受ける好発部位としては,ベルトコンベアなどに巻き込まれた上肢や,髪が巻き込まれた

頭部,ズボンが巻き込まれた陰嚢,などがある。交通事故の下肢タイヤ損傷や指輪損傷も含まれる。

今回のガイドラインでは,剝脱創では全身管理を必要とする重症例の治療検討は行わず,創傷局所

に目を向け皮膚剥脱創の治療等を解説した。

CQ

14

画像診断有用?

推奨

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 根拠・解説 

 皮膚欠損創は,分層皮膚欠損であれば,エビデンスはないものの常識的に,直接創傷

面の観察が可能で画像診断は不要である。ただしガラス破片等異物などの可能性,また全層皮膚欠損
等深部欠損があれば画像診断の実施を考慮する

1)

。剥脱創では,受傷機転に応じて神経損傷や腱筋・

骨損傷を想定する必要があり,MRIが各組織の侵襲診断に有用であったとする文献がある

2)

。剥脱

された皮膚の血行評価のためドップラーやSPPを施行し,皮膚壊死の予測した文献もある

3)